1/23/2011

ひこうき雲 2/2

前編からのつづき  >>前編>>

色の空に引かれた長い白い雲の先端に、キラリと光る機体が見えた。雲をぞくぞくとはきだしながら、2機はどんどん近づいて行った。

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(c) hina写真素材 PIXTA
窓際の乗客たちが、それに気づいて、小さなささやきが起こった。

さざめきが伝わって、右の窓に近い乗客たちは小さな窓に釘付けになった。

他の乗客たちも、何事かと首を伸ばして見ている。


あまりに遠く、あまりに上空にあるせいで、2つの飛行機はお互いすぐ近くを飛んでいるように見えた。

航空ショーのようにニアミス状態で交差するのかと、私たちははらはらしながら見守った。


と気がつくと、その2本の雲以外に、もう1本、まさに自分と同じ高度、すぐ右側の窓の外に飛行機雲があった。

いつからだろう、私は、飛行機雲と平行して空を飛んでいたのだ。

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(C)FooNar写真素材 PIXTA



ちょっとしたファンタジーの世界にいるようだった。

非現実のような空間に放り出されて、窓の外の雲をつかめそうな、その上に乗って飛び跳ねたりできそうな、そんな気さえした。

ンジンの轟音と青い空のむこうで、静かに一機が雲を引いて飛び去ったあと、何分かして、もう一機がそこの下を交差して通り過ぎた。

実際には数十秒だったのだろうが、息を止めている私には、何分にも感じられた。

空には十字が描かれていた。

乗客たちから、ため息がもれた。小さな拍手がおこった。
(航空機は、衝突を防ぐため飛行方向によって巡航高度が決まっている。)


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(c) 写真素材 PIXTA
西行きの一機は、私たちに近づいてくる。しかし、私たちからはもう見えなかった。


地上から見ると、その飛行機雲は、私たちの右側にある飛行機雲を通り越し、そのあと私たちの作り出した雲の上を通り過ぎていっただろう。


そして空には、三本の南北に走る飛行機雲と、そこを垂直に交差していった1本の飛行機雲が残された。

地上から見上げると、そう見えたはずだ。


たちの機体が高度をぐっと下げたとき、霞が切れて赤いレンガ屋根の街並が見えてきた。


公園のブランコに乗って、空を見上げている子供を見た気がした。
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(c) tantan写真素材 PIXTA

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6 件のコメント:

  1. 私の住んでいる神戸の空では
    見かけることのない景色のようです

    適度な緊張は、人生において必要なのでしょう^^

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  2. FREUDEさん

    昼間の空は、お国柄が出るんですが、
    夜の空はどこで見ても同じ。
    月を見て遠吠え・・・じゃなかった、郷愁にかられるのは
    先人もあたしも同じようですw

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  3. 高野さん

    あら〜w 喜んでいただけて嬉しいです。

    あたしの体験談よりも、上から3番目の写真が凄いんですよw
    偶然見つけたんですが、これ、まさに、
    機内から見た飛行機雲だと思うんです。

    うん。これは一度、撮影者さんに聞いてみようw

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  4. 私も、たまに飛行機雲を見る事が
    ありますが一度に何本も、というのは
    さすがに無いですね!前編の記事を読んだ時、
    もっ、もしかしてニアミス!?
    この先どうなるんだろう?ってドキドキしちゃいました!

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  5. まさしさん

    本当に、ニアミスしそうに見えたんですよw
    機内の人たちも、おおお〜!って。
    あたしは窓に顔くっつけて
      (=`(∞)´=)ブヒィー となっていましたがw

    同時に何機も同じところを通過するなんて、
    空も、最近は交通渋滞してるんですかねww

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