5/03/2011

魍魎跋扈(もうりょうばっこ)

友人のロベルトは言語専門の高校で英語教師をしている。

どこの国でも、理系科目選択者には男子生徒が、文系学科には女子生徒が多いのは変わらぬようで、例に漏れずロベルトの教え子も8割が女子生徒だ。

ピチピチの女子生徒が教室に花盛り、とあたしが冗談めかしていうと、ロベルトはため息をつく。
「女子生徒の方が手に負えないんだぜ?」
Photo by Peter Stastny
自分の少女時代を思い返してみても、女子生徒の方が男子より口が達者でませていたのは間違いのないところ、それは場所がイタリアに変わっても同じなのかもしれない。

授業中は、殆どの生徒が携帯メールで忙しく、顔もあげない。
夏間近になるとビキニのトップにミニスカートで登校してきたりする生徒がいるのなんて、かわいいほう。

「せんせーい。今週アレなんで、トイレ行ってきます」
なんていって退席する輩までいるらしい。(恥を知れ、恥を!)

写真素材 PIXTA
(c) bamboo写真素材 PIXTA

また生徒たちを叱責したあと、次回のクラスに行くと、教卓のうえに嫌がらせのタン◯ンが載っていたりするらしい。油性ペンで「ケツに入れろ」と書かれていたという。ここまで来ると、なんともえげつない。
あたしならショックで対人恐怖症になりそうだ・・・恐るべしイタリアの女子高生。

ともかく、そんな惨状は、もちろん保護者会で報告される運びとなる。

ロベルトの高校の保護者会は、授業が終わる平日3時半以降に1週間にわたって行われた。

これは保護者が自分の子供の受けている授業の教諭の教室に指定された時間に行き、学習進捗状況についてお説教を受ける仕組みだ。

ロベルトの受け持ちは全校生徒の半数、それも必須教科の英語なので保護者も真剣である。いくらがんばっても質問は尽きず、予定の夜7時以前に終わることはまずないのだが、それをさらに遅延させるのが、常軌を逸した親たち、いわゆる「モンスターペアレント」たちなのだそうだ。

昨今このモンスターペアレンツは、日本だけに生息しているのではない。イタリアのそれは、さらに妖怪然としている。

ロベルト「それで、ですね、点数がこのように下がってきているんですよ・・・」
妖怪責任転嫁 「まあ。それはあなたの責任ですわ。何とかしていただかないと。」
写真素材 PIXTA
(c) 一 一写真素材 PIXTA

ロベルト「水着で登校されると、風紀上も良くないですし、お父様からも一言ご指導いただけると・・・」
妖怪非常識親父 「うちの子は、ハダカで行きたいと言えば裸で学校にやらせます。学校の口出しすることではないでしょう」

ロベルト「申し上げにくいですが、ご令嬢がマリファナを使っているという証拠がありまして・・・これは他の先生からもご指導が行くと思いますが・・・」
妖怪薬物依存 「学校で使わないように申します。それでよろしいかしら?」
(イタリアでは、マリファナ使用はほとんど処罰されないため容認されているのが現状)

写真素材 PIXTA
(c) けん写真素材 PIXTA


妖怪ママ 「うちのぼくちゃんがですね、先生が怖いと申しますのよ。厳しいと」
ロベルト「ご子息だけに厳しくしているわけではないつもりですが・・・。どの辺がそう厳しいと仰るんでしょうか」
妖怪ママ 「授業中笑い話がないとか。宿題が多いとかですかしら」


「俺、アレックスみたいにアメリカに行っちゃいたいな・・・」
ロベルトの嘆きには、気の毒な背中をさすってあげるしかない。


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12 件のコメント:

  1. あいこ3/5/11

    うわぁ・・・どこの国でも同じなんですね・・・。

    私の中学校を思い出しました。
    25歳の新任教員。もちろん男性の授業の時
    後ろの席の子がいきなりはいていたパンツをぬぎ、黒板に向かって投げつけていました。
    そして「せんせーい。なにかおちてまーす。ひろってくださーい」って・・・。もちろん先生は無視しますが追い討ちをかけるように卑猥な言葉攻め・・・。

    それでも、県内イチのお嬢様学校で、その学校名を出すだけで企業は採用する時代もあったくらいなんです。もちろん、新任の先生以外ではみんなイイコだったのですが、その年の先生2人は本当に大変だったと思います。。
    いまや当時の先生よりもはるかに上になってしまった年になり。あの頃はモンスターペアレントなんて言葉なかったし、先生たちよく逃げなかったなぁ・・・と感心です。
    子供にゴールドカードをもたせていて、先生が親に注意をすると、干渉してくるなと。。
    何かあったら「学校の責任」でも「構うな」だと、困りますね。先生。。

    そうそう、体調よくなったようで、心配してました。。よかったです^^あまり無理をなさらないように★

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  2. こんばんわですー

    何か体調を崩されていらっしゃったようですね。。大丈夫ですかね??

    私もちょい前に抜群に体調が悪かったもんで、人ごととは思えませんでしてね(汗)

    なんにしても復活おめでたうございますーー!


    というか相棒さんは先生だったのですね。それはさぞかし大変でしょうねえ・・・


    というかイタリアまでモンペアが棲息してるとは・・・というか日本が後なんかもしれませんけどね。。

    自分の子どもの事となると、いかんせん常識の眼鏡も外してしまうというその気持ちは痛いほど解るんですけども。

    でも教育現場の崩壊の一端を担ってるのもそういう人だったりするわけでしてね。、先生にとっても生徒にとっても難しい問題だと(汗)

    にしても使用済みタ○○○ンにはビビりました(汗)

    日本の女子校でも似た話は聞いた事ありますが・・・都市伝説だと思ってた・・・恐るべし女子(汗)

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  3. 話を伺っていますと、子に対する親の威厳がありませんね。。。今は夫婦共働きが多いし、特に母親が子供のかすかな心情や態度の違いに注意を向けることが少なくなったと思います。
    私から見ると、イタリア人女子の学校での荒々しい態度は、家庭の愛情不足から来ているとしかおもえません。親は子に好きなことをさせると楽だろうけど、そんなの本当の愛情でも優しさでもないですよ。
    そんな風に親に育てられた子供達の未来を心配します。

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  4. あいこさん

    お気遣いいただいて、どうもありがとうございます。
    なんとかいけそうな感じです。

    思春期の女子生徒って、ほんと扱いにくいですよね。
    あたしもそうだったと思いますが(笑)・・・
    22ー3歳程度でこの荒波に揉まれるのは、さぞかし大変だろうな。

    親がいつまでも子供なんでしょうね。
    ピーターパンじゃあるまいしw
    といって、人の親になったことがないので、自分がそうならない保証はないのですが・・・。

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  5. nawoさん

    体調、だいぶ戻りつつあって、今週はなんとかいけそうな気がします。お気遣い、感謝しますwww

    引越し前にお仕事やらなきゃなんないのに・・・
    シロクマでもあれば、がんばれそうだな。(笑)

    モンペアwww なんでも略せばいいってもんじゃ(ry

    教師をやっているロベルト、うちの相方の友達なんですよw
    いろんな名前が出てきて、わかりにくかったですね!

    これは、一度うちのアレックスのご紹介をしなきゃ、キャラがつかめないですね!いやはやすみませんwww

    女子が屈折するとああなっちゃうんですね。
    使用済みだったかどうかは、実は怖くて聞かなかったんです。
    そうじゃないことを祈ります・・・うっぷ。

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  6. Rumikoさん

    >親の威厳
    おっしゃるとおりですね。親が自分の子供をコントロールできなくて、誰が一体するんでしょう。
    怒ったときはカミナリ親父、こわい母ちゃんと呼ばれるくらいじゃないと、いけないのかしらwww

    自分の仕事や遊びにかまけてばかりで、子供を放置している親が多いのでしょうね。

    イギリスでも育児を放棄した親が多かったですが、世間体を気にするお国柄なので、ここまで妖怪が野放しになることはなかったですね。イタリア人は何につけても、頭に血が上りやすいですから、売り言葉に買い言葉。。。

    オーストラリアはどんな感じでしょうか?もっと穏やか〜なのかな。

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  7. ひえ~モンスターペアレントって、日本だけかと思っていました……。こういう親が教師をだめにし、ひいては将来の親をダメにするんですよね。ほんとに、カミナリ親父、おふくろさんが復活しない限り妖怪がどんどん増えちゃう。なんだか暗澹たる気分。先生もやりにくいですね。

    どうかお身体大切にしてくださいね、これからお引っ越しで大変なんですから!! 力仕事、手伝いにいきたいぐらいです~

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  8. 読んでいてだんだんと、腹が立ってきました
    不良生徒ひとりいない学年の中学でしたが
    高校がひどく、とても勉強をするような雰囲気では
    なかったことを思い出しました

    魑魅魍魎の跳梁跋扈なのですね

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  9. fullpotさん

    イタリア(の政府?)ってちょっと変わっていて、
    公立学校の予算を大きく削って、私立の予算を増やす、なんてことを平気でやっちゃうんです。
    だから、一般のほとんどの学生/生徒は科学実験室もなく、暖房も節約した学校で授業をうけ、教員も薄給、受け持ちは2倍3倍というクオリティの低さなんですね。

    「庶民はもっと低能に、一部の選ばれた人のみに教育を」という方針だ、と友人のロベルトは怒っています。(が、どうにもならないんですね。悲しい。)

    お手伝いのお申し出、まことにありがとうございます〜♪
    荷造りに疲れたら、fullpotさんに励ましていただきますw

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  10. To Taio,

    Welcome and thank you for visiting my site.

    Y gracias por el cumplido gran ;)

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  11. freudeさん

    勉強したい生徒にとっては迷惑極まりないですね!
    fullpotさん宛のコメントにも書きましたが、
    親ももちろんですが、イタリア政府が原因でもあるはずなんです。
    だって、程度の低い教育を受けたら、当然モンスターペアレントになってしまいますものね・・・。
    日本が将来、こんなふうにならないことを祈るばかりです。

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