1/31/2011

戦闘機にセロテープ

ギリス、ドイツ、スペインとイタリアが共同開発している最新鋭の戦闘機「ユーロファイター・タイフーン」。

米国のF-35戦闘機とともに、日本航空自衛隊の次期FS-X(支援戦闘機)候補と目されていたが、最新の情報ではどうやら米国製の購入に落ち着いたようですね。

それは、もしかしたらこの事故のせいかもしれない・・・とアレックスは悲しんでいます。

2010年8月24日、スペインのモローン空軍基地で、サウジアラビア用に作られたユーロファイターが一機墜落した。
(戦闘機はすべて、カスタムメイド。国によってまったく装備が違う)
画像 http://www.lebourget2007.finmeccanica.it より


この戦闘機は、スペイン人パイロットと、顧客であるサウジアラビアの空軍中佐が乗って飛行訓練中で、離陸時の事故だった。

スペイン人パイロットの方は、エジェクトー緊急脱出機能 (つまり、椅子ごと飛んでパラシュートが開くやつですね)で辛くも脱出できたが、サウジの中佐のほうは脱出し損ね、なんと亡くなってしまった。

係者以外には知られていないが、戦闘機で緊急脱出機能が働いた際には、2席が同時にエジェクトされるのではない。0.7秒ほどの時間差がある。

これは、脱出の際、2席が衝突しあったり絡まったりしないための方策なのだが、この数十分の1秒が、今回命取りになってしまった。

顧客が犠牲となったこの事件は、関係諸国に大きな打撃となった。
アレックスは直接この事件とは関係していないが、開発チームに属しているため、事件後の内部調査や経過を見守ってきた。

それで、どうやら事件の真相(らしきもの)に行き着いたという。
それは、なんと、セロハンテープ。

闘機には「エアデータ」のためのセンサーが外壁についているのだが、それは日々のメンテナンス/検査が済むと、
赤色のテープを貼り「検査済み」を示すらしい。

しかし、その日は、運悪くその赤色のテープを切らしていた。

検査官はベテランだったので、
(しゃあないな。倉庫に取りに行くの面倒だし、これでいいでしょ。)ということで、
その場にあったふつうの透明なセロハンテープで代用し、

そのへんの紙に「エアデータ検査済み」と書いて部品のうちの1個に貼付けておいた。
(ま、これでわかるはず。)

戦闘機が離陸準備に入ると、その赤いテープは剥がされる。

実際、そのテープには「飛行前に剥がすこと」と書かれているとか(笑)。

・・・ところが、透明なテープが災いして、別の検査官は
「テープは剥がしたあとだ」と勘違いしてしまった。

戦闘機は、そのまま離陸してしまう。

そのセンサーには、離陸時のエアスピードを計る機能があるのだが、テープで保護されていると当然、いつまでもスピードが上がったと認識されない。

揚力がはたらいて機体はほぼ空中にあるのに、データがないので羽根のフラップが動かない。

高度がわからない、スピードの計算ができない、制御システムがクラッシュを起こす・・・・
・・・・あっという間に航行不能に。


そして、墜落。

ひえええええ。


というわけで、

最新鋭の戦闘機を墜落させたのは、敵でもスパイでもなく、数枚のセロハンテープだったわけです。
写真素材 PIXTA
(c) kuppa写真素材 PIXTA

  落ちた時、テープ貼ったひと、
「やべ。俺かも」と、思ったでしょうね。

(ご注意:真相は、はっきりわかっていませんので悪しからず!)

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当時のニュースのリンク
Saudi Eurofighter pilot killed in accident in Morón AFB, Spain
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2 件のコメント:

  1. 悲しいですね
    ささいなセロハンテープが、
    一人の命と莫大な金額を失ったわけですから

    謹んで御冥福をお祈りいたします

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  2. FREUDEさん

    サウジのパイロットの方は、ほんとうにお気の毒でした。

    日本との契約がとれなかったのも、これが一因かも・・・
    契約とれてたら、あたしも日本に帰れたのになあ〜

    返信削除