7/31/2011

金魚の旅 海を渡る編 

 これまでのきんぎょ騒動は・・・
でお送りしています。

ドーバーの白い崖 Photo BBC news
イギリスとフランスの国境にあるドーバー海峡は、白い石灰石の絶壁が岸辺にそそり立つ厳めしい外見の土地である。ここの人たちは気が荒いというので国内でも有名で、それもそのはず、常に風が吹き荒れ天気も悪い、なんとも暗澹たる気分にさせられる地域なのだ。



ちなみに対岸のフランス領カレーも、白い絶壁がないだけで風と空の色 (と人)はドーバーと同じである(笑)。

あたしたちの出国審査が済んだのは7時10分過ぎ、おまけでチェックインさせてもらったようだ。

プラットフォームを走る photo sitelink

自動車は駅のプラットフォームを走ってその列車の内部に貨物として直接入り込む。

すると列車が対岸のフランスまで送り届けてくれる。

所要時間は35分、フランスとは1時間時差があるため、午後7時半に出発すると、到着するのは1時間35分後の午後8時5分、となる。

うちの車が列車に入り込むと、真後ろで列車の扉が閉まった。

列車の中では、自動車のエンジンを切り、束の間の休息をとる。あたしたちは、車外に出て、足を伸ばす。

金魚は水の中でおとなしくしていた。

金魚も車酔いをするという話だが、酔ったところであたしにわかるわけがない。

列車の中 Photo Sue&Paul's Web Page
これから金魚は海を渡ることになるのだが、そんな重大性は金魚どもにわかるはずもない。

「金魚なんかのために往復したの?」と驚く友人の顔がちらりとよぎった。


数分のち、列車が静かに発車した。アナウンスは英・仏2カ国語。

数キロ地上を走った後、列車はちょうど地下鉄が地下に潜るときのようにして、ドーバー海峡の海底に沈んで行く。

鼓膜がポン、と反応する。

Photo Hot News Aroud The World
列車には何もない。トイレしかない。

歩いたり、カフェで休憩したいなら、フェリーの方がずっといい。

しかし、あたしたちは今日は一刻も早くフランスに着きたいのだ。明日も長距離ドライブが待っている。

列車の小さな窓の外には、トンネル内側部にプレート状につけられたライトの断続的な光が閃く。
30分はすぐに過ぎ、列車がカレーに到着する。


前の車から順々に列車からプラットフォームに出てゆき、無人の入国審査ゲートを抜けると、車は右側通行に変わる。

標識でも「右側を通行」と書いてある。

緊張しそうになるが、逆方向の車線とは中央分離帯で仕切られているので、実はさほど実感はない。追越し車線が逆になる程度だ。

高速をおりて最初に右・左折するときに、左車線にうっかり入らなければ、大丈夫。前に車がいれば、ついていくだけなので心配することはない。

すぐに近場のホテルにチェックインする。このホテルはペットも泊まれるので、猫づれのとき以来定宿にしている。
カレー市 Photo hotels n hotels calais

チェックインがすむと、また車を出して、カレーの市街地にある小さなブラッセリー(これもすでにおなじみの店だ)に入る。


スライスして食べるサラミ photo stockfood
フルボトルの赤ワインと水とパンに続いて、10cmほどの長さのサラミとナイフがまな板に載って運ばれてくる。


サラミをスライスして皮を剥き、フランス産のワインを飲むと「ああ、ようやくフランスまで来たんだ」という実感がわくのも、毎回のことだ。

あたしたちは、イギリス本島を完全に後にして、大陸に入ったのだ。

ホテルのベッドに入ると、ワインも手伝ったのか、長時間のドライブで神経が逆立っていたにもかかわらず、夢もみない眠りが襲ってきた。




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10 件のコメント:

  1. ちょっとしょうもないことですが、気になりました。
    列車のアナウンスはフランス人が英語でするのか、イギリス人がフランス語でするのかどちらですか?フランス人の英語って、どんなに上級者になっても、やたらとフランス語訛りなのが面白いですよね。旦那がよくマネしています。
    フランスのサラミも美味しいのですか?
    私はイタリアのベニスで歩きながら食べたサラミミラノの味が忘れられません!
    この旅はおふたりの本当に素敵な思い出ですね。

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  2. まったく知らない世界が、手に取るようにわかります
    さすが翻訳家の文章ですね

    こんな文章が書けたらいいなって思いながら
    次の記事に期待している私なのであります^^

       お疲れの出ませんように…

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  3. Rumikoさん

    >アナウンス
    毎回同じなので、録音されたものだと思うんですが、
    英語のアナウンスでは、フレンチ訛はない気がしますねw

    イギリス人の発音だと思ってきいています。

    フランス語のときに英語訛があるのかなあ?
    (たしかに鼻にかかってて笑えますよね、フレンチ訛www)

    サラミ、美味しいです〜!
    フランスのは、ニンニクがけっこう入ってんですよね。
    一方のイタリアは、意外や意外、そんなにニンニク使わないんですよ。
    そこが仏・伊の違いかも、な〜んて。

    >思い出
    ですねぇ♪ これから忙しくなるので、ちょっとこんな悠長なことはしてらんないですし(笑)

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  4. FRUDEさん

    うひゃあ。翻訳家だなんて、とんでもない!
    時々ちょっと頼まれて訳してるだけなので、ちゃんと勉強したこともないんですから!

    でもいつか、学校でちゃんと資格をとれたらいいなとは思っていますw 野望ですw

    FREUDEさんみたいに深くて専門的な知識がないので
    うわっつらをなでただけの文章なんですが、

    ご一緒に、知らない世界に行った気分になっていただけるのがいっちばん嬉しいです。

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  5. ケンケン3/8/11

    日本の道路を左ハンドルで走る感じ・・?

    で、ピッコロ大魔王様
    エゲレスはポンドじゃなかった?

    ポンドも使えるの・・?

    ジェームスポンド、、なんちゃって・・
    失敬・・・・
    ヽ(^^ゞ。。。。デハ、、シツレイ

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  6. 「飛行機ではなく、車や列車で国境を越える」というのは、日本では体験できないので、もうそれだけで非日常感!ですね。

    一度だけ、TGVでジュネーヴからパリへ移動したことがありますが、当然ながら乗車前に出国手続きがあり、その時に「陸続き」であることを再認識した記憶があります。

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  7. 元気ですか~。

    体調の方はどうなのかな、

    ここは、幸せなにおいがいつもしてます。

    私も、ようやく夏休みに入れそう。明日は仕事ですが...

    私も、金魚になりたい(笑)

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  8. ケンケンさん

    >日本の道路を左ハンドルで走る感じ
    まあ、そんなようなもんでしょうかw しかしあたしは庶民なもんで、それはしたことないです。

    エゲレスはポンドですねぇw
    もちろんフランスに入ったとたんに使えませんよw 

    ジェームスポンドとかwww どうなんですかそれw
    はいはい、退散しといてくださいねww ったくもう♪

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  9. みやさん

    列車でも乗車前に出国手続きがありましたか。
    そうかそうか、忘れてたw 
    知らぬまに国境を越える列車の旅も、素敵ですねぇ〜♫

    「世界の車窓から」www 

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  10. たまちゃさん

    元気ですよぉ〜!
    先週は海にまで行っちゃって、このトシで日焼けまでして・・・!
    ああシミソバカスが・・・!

    幸せなにおい・・・w 
    不幸せなこともたくさんあるんですが(笑)そんなこと言っててもしゃーないじゃないですかw
    ニホンを一歩出れば、不便なこと/イヤなことばっかりですしねw

    お休みに入られましたかw 
    どうぞどうぞ、ごゆっくりなさってくださいませ。

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