4/25/2011

ほっぺにちゅー

今日は、雰囲気を変えて、日本にいるあたしの妹のお話。

あたしは2人姉妹の上で、妹とは2匹の子猫みたいにずうっとくっついて育った。

2歳年下の妹がたまたま同じ地域の大学に入ることになり、それなら、と迷わず一緒に暮らした。
料理はあたし、朝のゴミ出しは妹。
掃除は一緒にやり、洗濯物も映画を見ながら一緒に畳んだ。

去年その妹が結婚したのだが、「いつもお姉ちゃんの真似をして大きくなりました」と言われて涙がでた。
今では妹のほうがしっかりしてしまい、姉妹が逆転したようになっているから、なおのことだ。

これは、そんなかわいいうちの妹のお話。
10年はたっていないが、もうだいぶ前の話だ。
写真素材 PIXTA

(c) 支部長写真素材 PIXTA

乗車率50%くらいの昼下がりの地下鉄の中で、あたしの妹は、7人がけのシートに座っていた。
大学の帰り、アルバイトに向かっている妹。
携帯をいじりながら、バイト先の法律事務所のことを考えていた。

乗降りする乗客の足取りにも、朝ほどの慌ただしさを感じない、午後の地下鉄の中。
吊り広告の種類もバーゲンとか旅行とかゴシップとか、肩の力が抜ける内容のものが多い。



何駅か後に、ひとりの外国人の男性が乗り込んできて、妹の目の前の席に座った。

最初は全く気に留めていなかったのだが、ふと気づくと、どうもそこから、視線を感じるのだ。

「知り合い?と思ったけど、外国人で知り合いなんて、おねえちゃんとこのアレックスと、大学の先生くらいしかいないし。」

気にしないようにしていたが、最初はチラリチラリと見られていたのが、今ではジィーっという視線に変わったため、どうしても気になる。

手に持った携帯の画面から目を離してちょっと観察してみた。

「南米系の人かな。肌が日焼けした感じの黒さで、髪も黒っぽい茶色なの。」

と、その人、急に立ち上がったかと思うと、前に進み出て、空いたばかりの妹の隣の席に座ってきた。

立つと、すらりと背が高くて、Tシャツからでている腕もジーンズに入った足も長い。隣に座った時、ふわっと香水が香った。

驚いた妹の心拍数が急激に上がった。

「さっきから視線感じてたし、なんか嫌だったけどさあ。空いてる席に座るのは別に悪いことじゃあないから、文句言えないしねぇ〜」

左側にある長い足と自分との数ミリの隙間にプレッシャーを感じつつ、やや緊張しながら座っている妹。

次の駅に着いて電車が止まったとき、その外国人男性は、リュックを持って立ち上がった。

が、妹の前に一瞬立ち止まると、はっきりとした日本語で
「おねえちゃん、かわいいね。」と言った。

妹が反射的に顔を上げると、その外国人は、いきなり妹に顔を寄せて、
右のほっぺに音をたててちゅーをし、香水の香りを残して、電車を降りて行った。

写真素材 PIXTA
ちゅーーーーーーーー!
(c) GOETHE写真素材 PIXTA


もちろん目は点になり、耳はもとより、あごの先まで真っ赤になった妹。

そして白昼堂々、衝撃のドラマを目撃してしまった車内の人々は、
いたたまれずにうつむいている妹を、遠慮なしにニヤニヤ眺め回していたそうだ。

「うひゃぁ〜!」と国際電話越しにあたしが心行くまで叫んだ後、姉の威厳を保とうとして

「ま、べつにいいじゃん。かわいいって言われたんだし。ちょっと楽しい出来事だったじゃない。ハンサムだったんでしょ?」と言うと、

妹はため息をついて、

「あいつはさあ、さっさと電車降りてっちゃったからいいだろうけどさ。
あたしなんて車内に残されて・・・そのあとの2駅が長かったったらもう!」

写真素材 PIXTA
これは「キス」
(c) Scania写真素材 PIXTA


その後二度と、そのキス魔の外国人に会うことはなかったそうです。(笑)


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8 件のコメント:

  1. あいこ26/4/11

    ((*´∇`人´∇`*)きゃーーッ^^

    思わず読みながらクスっと・・・。
    あぁ、妹さんの結婚相手じゃなかったのね・・・。
    ちょっと残念(笑)

    確かに、ウンウン。
    私も思春期に外国(っていっても草原だけど)にいたからか、思ったことはいわなくてはという感覚で大人になり。

    「チュー」はしないけど、
    「あなた、素敵ね!」とか
    「あなた、カッコイイね」とか
    「キレイですね!」とか
    相手が男女関係なく、まぁ、この人は素敵だ!と思ったら、声をかけていましたねー・・・。

    黙って見つめるのは失礼だし。。

    ただ、そのおかげで、勘違いをされたり
    避けられたり恨まれたり?(ちょっかいだした)とか笑 日本人ウケはよくなかったですねぇ。。

    関西のオジサンの「ねぇちゃん!べっぴんさんやな!」のノリより全然素敵な「かわいいね」だな♪
    妹さん、おめでとうございます★
    結婚したからといって幸せになれるのではないそうですが結婚したからには、絶対幸せになってやる!って思って結婚したの。と、私のいとこは言っていました^^
    山アリ谷アリだと思いますが、縁側で一緒にお茶が飲める相手がいるということは幸せなことです((*´∇`人´∇`*)
    どうぞ、お幸せに♥♥

    ピッコラさんのラブエピソードは??
    どちらかしら♪

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  2. おねえちゃん、かわいいね!って言えば
    ほっぺにちゅーしても良いんだ!
    私が同じ事をしたら間違いなく逮捕されます。


    妹さん、相当可愛かったのでしょうね。
    本人は嫌な思い出かもしれないけど、
    こんな事は、めったにない貴重な経験かも?
    それにしても外国人、けっこう大胆だな!(笑)

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  3. 外国人からすると、当たり前のアクションなのか… いや、そうでもないか(笑)

    それにしても、妹さんの「いつもお姉ちゃんの真似をして大きくなりました」は…泣けますねぇ。
    私も二人姉妹の上ですが、妹はたぶんそんなことカケラも思ってないだろうなぁ(笑)。
    うちの場合は、典型的な「お姉ちゃんなんだから!と親に言われ続けて育った長女」と「フリーダムな次女」って感じ。

    ところで…テキサスにお引越しなんですね!
    私も子供の頃引越しが多い環境だったんですが、所詮は国内移動のみでしたので…
    海外への引越しって、想像がつきません。 大変そう…

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  4. いやいやいや、なんかすごーーくドラマチックで。

    というよりもドラマのワンシーンみたいですね。話読んでる私の顔がニヤニヤしてるのに気が付いて、隣の同僚に変な目で見られたじゃないですか。全く。

    私もラテン系の方と学生の時とお仕事で少しだけご一緒した事はありますけども、全くもって女性に対するアグレッシブさと、自分の欲望に対する貪欲さには目を見張る物がありますねえ。

    でもそこにイヤラシサが無いので、する方もされる方も後味悪くないんですよねえ。

    ま、妹さんはとんだとばっちりだったかもしれませんけど(汗)でも多分ずっと記憶に残るんじゃないですかねー。

    そういうラテンのノリっての、私も身につけたいもんです。はい。


    ・・・ってこれでラテン系のノリになったら即逮捕ですかそうですか(汗)

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  5. あいこさん

    そっかそっか、帰国子女でいらしたんだ。なるほど。
    それは帰ってきてからギャップに悩みそうですね・・・

    >一緒に縁側でお茶を飲める
    うちの妹も、こんなじんわりとした日だまりのような幸せな家庭作って行ってほしいですw

    あたしのエピソードは、書いてないんですよ。
    簡単にいえば、褒め言葉とプレゼント攻撃で落ちた、ですw
    しかし、そのときにかかったお金を、日々取り返されているので、今ではアレックスに貸しの方が多いのですwww

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  6. まさしさん

    本当ですね、日本人がやったら、即「チカン!」って叫ばれちゃいますねwww 
    なんで外国人だと許されちゃうんだろう・・・?
    というか、妹曰く「当て逃げされた」だそうです(笑)

    うちの妹は、かわいいですよ〜www 姉の目から見て、ですが(笑)目の中にいれても痛くないのですw

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  7. みやさん

    みやさんもお姉ちゃんなんですねwww
    いやはや、先日はお兄さんだなんて言って、大変失礼しました。
    この場を借りて、再度、お詫び申し上げます。

    きっと、みやさんの妹さんもこっそり感謝してるんですよw (かな?)お姉ちゃんは大変ですよね〜w

    お引越しが多かったんですね。
    大変ですよね、新しい土地に慣れるのって。
    あたし、一度でいいから「転校してきました!」って言ってみたかったなぁ。子供の頃。
    今頃引越しばかりしてるのは、その頃の夢(?)がかなった・・・んでしょうか?

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  8. nawoさん

    ラテン系のアプローチって凄いですよね〜!
    ヨーロッパにいても、「ラテン系には気をつけろ」って言われるんですよ(笑)

    たしかにさほどイヤラシい気分にならないかもしれません。
    なんなんでしょうね?
    きっと何か、技があるんだな。あるんだったら身につけたいもんですよね?

    だって、いくつになっても褒められると正直嬉しいですし
    そうなると女性はますます美人になる、男性もそれで得をする・・・(しない?)いいことづくめなのに♫

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