4/11/2011

ストリートガール ①

いつもジョギングしている公園のふちを5本の道路が囲んでいる。
 
例の、移動遊園地の来る公園だ。

そこの歩道には、ストリートガールが立つ。




昼間の彼女らは、ジーンズやレザーパンツなど、露出の少ない服装をしている。
もちろん、警察車両が通りかかる可能性を考えてのことだ。

その地味な格好と、いくぶん年齢が高いせいで、初めはあたしは、彼女らも街娼だとは思っていなかった。
しかし、散歩しているにしてはその場を離れないのは不自然だ。
そして時々車両が停止して、窓越しに商談をしているのをみると、なるほどそうなのだ。

彼女らはタバコや携帯をいじりながら、手持ち無沙汰なふうを装っているが、
通りかかる車両には、長いまつげをしばたたかせてシグナルを送る。

驚くほど多くの車やバイクが、一番右の車線を走りながら、スピードを落として彼女らを吟味していく。

写真素材 PIXTA
(c) JayTurbo写真素材 PIXTA

そして夜の道路。
彼女らは、やはり夜の存在である。

時々行き交う車のフラッシュに照らされる彼女らは、超ミニのスカートに、ブーツといういでたちである。

ひとけのない山道に立つストリートガールたちは、もっと挑発的。
背中側は服を着ているのに、通り過ぎるバックミラーを見ると、前面のボタンがすべて開いている、なんてことも多々ある。

冬の凍えるような日。激しい雨の日。彼らはやはりそこに立っている。
立ちっぱなしのブーツの足を何度も組み替える。



車が投げかけるスポットライトが当たった次の瞬間には、闇がまた、彼女らを覆いつくす。
そしてまた車が通り過ぎる。
それの繰り返しなのだが、彼女らに光の当たる時間は、ごくごくわずかだ。



Photo by Ignacio Farina
・・・私はその道をジョギングしている。

「危ないから、やめなよ」と言われもした。

実際、一度なんて、汗をふきふき歩いていたら、クラクションを鳴らされてしまった。
彼女らの一人と間違われたのである。
それにしても、汗じみのついたジャージを見ればわかりそうなものだが・・・

危ないとわかってはいるのだが、同じ女性として、どうしても気になってしまう。
彼女らの勤務体系、取引のしかた、普段の生活・・・・。
もし私がジャーナリストだったら、彼らに密着取材をしたいほどなのだ!

「道路を走るのは明るい時だけにしてるから」
残念ながら、私に雑誌社の葵の御紋はないので、こうしてジョギングしながら毎回観察を続けているのである。



次回に続きます。
ストリートガール ①|  ②


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10 件のコメント:

  1. 人類最古の職業とも言われますね。
    どこの国にも、いつの時代にも絶えない人達。
    ある必要悪というものかもしれません。
    普通に生活しているとあまり接点がない彼女達、気になる気持ち、よくわかります。

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  2. あいこ11/4/11

    こんにちは^^

    外国はわからないけれど、日本は取材をしたことがあります。現役のコも含め、OBのコも・・・。
    聞くと、日本のいまの若い子は「お金が欲しい!=飲み屋さんでバイト」ではなく「=風俗」なんですって。
    簡単でガッツリもらえる・・・んだそう。
    それと、心理学上は自虐行為の一環だそうで、寂しさやなんらかの精神的ダメージによりそういうことに走るコも多いそうです。
    リス●カットはできないけど、こうすることで「生きている実感」を得られるのだって。
    ある意味、一生懸命生きているのかなぁ、と思ったりもしました。

    米軍基地、私のいた基地のまわりは、フィリピンパブばっかりでした(笑)
    そして、私は、配属当初は日本語ぺらぺらで(笑)
    アメリカ人に「●△×※・・・・」と話しかけられ、
    「ハイ!」と元気に日本語で対応していたので
    いつも笑われていました。
    アメリカ人には、その「ハイ!」がツボだったらしく、多少英語で対応できるようになったら「ハイは?」とつまらなさそうに言われました(笑)
    田舎の広い一本道を、真夏にオープンカーで走る黒人さんを見ると、「ここは日本かな?」とちょっと勘違いするほど、格好はいいです♪
    いい人ばかりではないけれど、いつも笑顔の外人さんは私は好きです♥
    日本人って、いつも口角が下がっていてちょっと怖い・・・。

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  3. 『彼女らに光の当たる時間は、ごくごくわずかだ。』
    考えさせられます。

    何歳まで商売を続けるとか、やめたあとはどうするかとか、確かに色々気になるな~。

    でも、やっぱり危ない気がするんでピッコラさん気をつけて下さいね。

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  4. ケンケン12/4/11

    密着取材期待o(^o^)o ワクワク
    ちなみに、お値段は如何ほどなのかなぁ・・?
    知りたぁ~~い。

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  5. 桃源児さん

    >最古の職業
    実際そうなんでしょうね。
    どこかのエッセイに「いんや、通訳(神様との交信を助けた)が最古の職業」なんておもしろい反論もありましたがw

    ジョギングしてると、側を走ったりして、いろいろ気づくことが多いんですね。で、余計に気になっちゃう。
    次回、もうちょっとだけレポートします!

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  6. あいこさん

    取材なさったんですね〜!
    ひじょうに興味をそそられる内容ですね。
    あいこさんのご職業、謎が多いなあ〜〜!

    一生懸命生きているんですよね。
    最初は、私たちとはかけ離れた存在のような気がしていたんですが、どこかで転落(?)していたら、私が彼女らの代わりに立っていたかも、と気がついて。

    日本人の口角が下がり気味なのは、歯並びのせいもあるかと思いますが、サムライだった日本人は、笑顔をやたら見せる文化じゃなかったのも確か。
    シブくてそれもいいのかも、と渡辺謙の演技をみて思ったりしますw

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  7. コウスケさん

    危ないんですよ。実際、1年以上観察していると、こっちを覚えられちゃって。
    未だジョギングを装っているんですが(実際走ってますけどw)
    あたしが来ると、一気に警戒されるんです・・・。

    これ以上の深入りはできないと思うので、次回の投稿が山場で、最終話の感じですね。お楽しみに〜w

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  8. ケンケンさん

    かなり安いんです。でも、それは次回のお楽しみ〜♫
    タイも、多いですよね、ストリートガール。
    でも、ケンケンさんのお話を読んでると、彼女ら、たくまし〜い!

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  9. 安易な商売のように思っていたのですが
    こうやって考えると、大変なお仕事ですね

    かといって、協力する気にもなれず・・・
    それでも再婚するのは、邪魔臭いし A^^);

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  10. FREUDEさん

    >再婚
    というと、この場合、身請け!?
    そりゃぁ大変w

    >安易な商売
    困りますなあ、FREUDEさんまでそんなこと仰って〜〜w

    肉体労働であるだけではないのです、精神も切り売りしているのですよ、彼女らは。
    しかも、逃げ場のないところにいる苦痛まで。

    10人くらい身請けしてあげてくださいw

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