****************************
イタリアの学校は長い長い夏休みに入りました。
なんと、子供時代の夏休みを幽霊屋敷で過ごしていたアレックス。
体験談を3回にわけてお送りします。
****************************
それはレンガづくりで二階建ての一軒家で、
南イタリアはモリーゼ州の、アドリア海に面した丘の上に建っていた。
(c) Sylvia|写真素材 PIXTA
庭木の間からキラキラと輝く海が見え、家のまわりを花壇と菜園が囲んでいた。
そこには、アレックスのおば一家が住んでいて、海まで歩いて3分という立地のおかげで、アレックスが子供のころは毎夏、家族の避暑地になっていた。
その家には幽霊がでた。
(c) taka|写真素材 PIXTA
家族だけでなく、来客にも、郵便屋さんにも、運が良ければ(?)誰にでも見えたので、地域でも幽霊屋敷として有名だったのだそうだ。
一番よくあったのは騒音で、とくに廊下で大勢がドタドタ走り回る音がした。
家族が居間でくつろいでいると、その音は家中をかけぬけたあげく、ピタリ、と止む。
廊下を見ても誰もいない。
ドアを閉めていると騒音がよく起こったため、廊下に面したドアには重石をして年中開けっ放しにしていたそうだ。それでも、いつの間にか閉まってしまうという・・・・・
陽のまだ高い、夏の午後。
アレックスのおばは、裏庭でパスタソースに使うトマトをもいでいた。
裏口のドアが見える位置にいて、磨りガラスのドアの内側に人影が映ったのを目の端でとらえた。
人影はしばらく動かないので、当然家族の誰かだろうと思った。それも女性。
おばが手をとめて立ち上がると、その人影も動いた。
すっとドアから姿が消えて、左へ歩き出した・・・と思ったのは、間をおかず、裏口の左側にあるバスルームの窓を横切るその女性の姿が見えたからだ。
すぐにそれは、「人」ではないとわかった。
なぜなら裏口の両側には壁があるだけで、バスルームへは他の部屋からしか入れなかったし、
バスルームの窓辺にはバスタブがあって、そこを歩くことはできなかったからだ。
窓の写真(c) リョウ|写真素材 PIXTA
またあるとき、少年だったアレックスは二階の部屋で昼寝をしていた。
寝返りをうって、部屋の中ほどに顔を向けた時、そこに誰かが立っているのが見えた。
それは、ベージュのシャツと同色のズボンをはいた中年男性だった。
アレックスは寝ぼけながら、お客さんかな、と思った。
そのおじさんは、顔中に黒々とヒゲを生やしていて、眉毛とヒゲの奥に引っ込んだ目でアレックスを凝視していたが、 突然、
コツ、
コツ、
コツ、
とベッドの方へ近づいてきた。
兵士の写真 オリジナル リンク |
あと2歩でベッドに着くというところで、驚いて飛び起きると、いなくなっていた。
開いていたはずの部屋のドアは、閉まっていた。
昼寝の後、なにげなくマンマに「さっき誰かいたよね?」と話したことで、それはお客ではなかったことがわかった。
次回の別のエピソードに続きます。
幽霊屋敷で休暇を ② | ③
0 件のコメント:
コメントを投稿