6/16/2010

幽霊屋敷で休暇を②


*イタリアの幽霊屋敷のお話のつづき*



夜、子供たちを寝かせつけた今は亡き父が、暗い階段を下りてきたときのことだ。
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階段をおりると左右にのびた廊下がある。左へいくと台所があって右手には居間があった。

階段の踊り場まで来たところで、誰かが居間の方向から台所に向かって歩いていくのが見えた。
廊下は暗かったが、それは若い男に見えた。

すぐ後ろを幼い男の子が走ってついて行った。

階段を下りきると、台所へ二人が入っていくところだった。

見覚えのない人間だったので、「誰だろう?」と考えながら、父は台所へ入った。

台所のドアは、閉まっていた。 開けて入ると、誰もいない。
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ドアのない台所の続き部屋からは明かりがもれていたので、そちらへ足をむけた。

そこへ入ると、母と叔母たち(母の姉妹は3人いた)がお菓子をつまみながら、おしゃべりをして笑っていた。


誰も台所へは来ていなかった。

「居間と台所を行ったり来たりする連中は、しょっちゅう見たよ」
と父はいう。
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「あんなもんは、それまでは全く信じてなかったけど、自分が見ると、信じるしかないもんだ。
見えるんだから、いるとしかいえないさ。」

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(c) 使用上の注意写真素材 PIXTA
「やっぱり、いたんですか・・・?」 「いたね。でも、何も悪さはしなかったから。ちょっとびっくりするくらいがせいぜいだよ。」


「・・・日本の幽霊は悪さをするのが多いんですよ。祟るんです。家族が病気になったりするし」

「あの家の幽霊は、なにもしないよ。出るだけさ。」

イタリアの幽霊は日本とちょっと違うのかもしれない。


幽霊に手を焼いていた当初は当然、家を買い直そう、という案がでた。

ところがそれが本決まりになるまでには、持ち主のおば夫婦は幽霊たちにすっかり慣れてしまったという。

とにかく、あまりに頻繁にその「影たち」が現れるせいだ。

お金が貯まるまで、と我慢しているうちに、慣れてしまって、共存の道を見つけたのだ。
そのうち気にならなくなったし、おかしな現象も少なくなったそうだ。

「ふつうの人間が同居してると思おうとしたのよ」
「そうそう、見つけたら、ああまた出たなって感じで」
その精神状態に行き着くまでに、どのくらいの幽霊をみたのか想像もつかない!


「それでも、一度だけ、本当に怖かったことがあるの。幽霊と話したのよ、私。」
母の体験談だ。 (次に続く)

幽霊屋敷で休暇を ①(前回) | ③ (続き)

2 件のコメント:

  1. すごく続きが気になります!!
    それにしても、皆さん慣れちゃうもんなんですね。
    幽霊が見えない私には考えられませんが…。
    お母さんのお話しが怖かったということで、続きを見た後に寝れなくなったらどうしよう…なんて今から考えています。

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  2. okeianさん

    あたしも幽霊なんて見えませんよ!(笑)
    「見えないものは信じられない」ですし・・・

    「慣れちゃった」なんて、どれだけ幽霊を見たんだろう?
    その家に行ってみたかったなあ・・・!

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