6/21/2010

サルのお店

現在、日本の実家(ど田舎)に帰省しています!

今日は、うちのおばあちゃんから聞いた、おサルの話。

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「隣町の○○さんちの畑に、サルが毎日通ってくるんだって!
去年なんか、スイカを両手に1個ずつ抱えて、えっちらおっちら逃げてったんだってさ!」



すごいのは、サルって賢いから、甘いの(熟したやつ)をえらんでいくんだよねwww


「でね、今年もさっそくサルがきてて、こないだは新ジャガイモを掘ってっちゃったみたい」

畑が荒らされてんだね・・・それは困るな。
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(c) MUSTANG写真素材 PIXTA
「なんでも、誰かが捨ててったアライグマまで繁殖しちゃって、サルのほかに、狸とかカラスとかアライグマとか、農作物をとってっちゃうらしい」
うちの近所まで来なきゃいいけどねぇ。

「それである朝なんて、近くの用水路(田んぼに水をひく小川)で、ジャガイモをサルの親子が仲良く洗って土を落として、かじってたんだって」
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(c) エリ写真素材 PIXTA
衛生教育、ばっちりですね、お母さん!

「あんまりサルがくるから、近所で交代制のサルの見張り番をしてるらしいんだけど、

△△さんが見張りながら缶ビール飲んでて、ついウトウト・・・ってしてたら、

サル脅しのお鍋(棒でたたいて音をだして脅かしてた)を誰かが『ガンガンガンガン!』ってたたくじゃない」

「はっ!て起きて見てみたら、隣にサルがいて、お鍋たたいてたんだって!!」
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びっくりしておじさんが逃げ出したらしい。

写真素材 PIXTA「最近では、隣町じゃあ、スーパーのレジ袋とかプラスチックの袋を家の外に出しておけないらしいよ」

え?なんで?
「掘ったジャガイモとか農作物を、洗った後、スーパーの袋につめて、お持ち帰りしてっちゃうんだって!」

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新鮮市場に、ご来店ありがとうございましたぁ~! 

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6/18/2010

幽霊屋敷で休暇を③

「それでも一度、ほんとうに怖かったことがあるの」母の体験だ。

「姉がね、洗濯が終わったら呼んで、っていうから、声をかけたのね。」

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お姉さんは、自室でなにやらしていて、廊下から声をかけたが、気づかないようだった。

「部屋に入って『終わったけど、何だった?』って真後ろから呼んだの。」

背中を向けていたお姉さんは、何も言わずに、時間をかけてゆっくりと母のほうを振り向いた。

振り向いたお姉さんは無表情だった。母を通り越してどこかを見ていた。
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お姉さんは、母を見つめたまま、すうっと右手を伸ばして、人差し指をすぐ右側にある壁に向けた。

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(c) ぴよこっこ写真素材 PIXTA

つい指先を目で追った母だったが、そこには壁があるだけ。

次の瞬間、お姉さんは、壁の方向に真横に倒れた。

伸ばした手の先から壁に入り込んで、そのまま、消えた。

「・・・・それって、本当にお姉さんみたいだったんですか?」あたしが聞くと
「同じ服、同じ顔よ!ゾーっとして、腰抜かしちゃったわ!」
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当の本人、お姉さんは、特になんということもなく家の中にいたという。
「洗濯が終わったら呼んで、なんて、言ってないっていうの」

今でも思い出すと鳥肌がたつ、といって、腕を見せてくれた。

みんなが口々に語るところによると、
その家の幽霊たちには、決まったメンバーもいた(少年、若い男、女 )が、実際にはいろいろだった。

地域でも誰一人、幽霊の出る原因を知る人はいなかった。

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以前の家主の子供(男の子)が事故で水死した、
という噂はあったものの、事実かどうかわからない。

結局きちんとした調査もしないままだったという。

それでも、今なお語りぐさになっているというから、実際に目撃談がたくさんあったのは事実らしい。


その家の写真を見たかったが、母はなくしてしまった、といっていた。家自体も、取り壊してしまって、今はもうない。

「ずいぶん涼しい夏休みだったんだねぇ」怖いのを紛らわしたくて茶化すと

「あら。幽霊が出る時ってね、夏でも部屋がすうっ~と寒くなるのよ。だから、あ、今いるな、ってわかるの」

家族全員が賛同するのを見て、あたしは今度こそ鳥肌のたった腕をさすった。

幽霊屋敷で休暇を ①| 

6/16/2010

幽霊屋敷で休暇を②


*イタリアの幽霊屋敷のお話のつづき*



夜、子供たちを寝かせつけた今は亡き父が、暗い階段を下りてきたときのことだ。
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(c) bianca写真素材 PIXTA

階段をおりると左右にのびた廊下がある。左へいくと台所があって右手には居間があった。

階段の踊り場まで来たところで、誰かが居間の方向から台所に向かって歩いていくのが見えた。
廊下は暗かったが、それは若い男に見えた。

すぐ後ろを幼い男の子が走ってついて行った。

階段を下りきると、台所へ二人が入っていくところだった。

見覚えのない人間だったので、「誰だろう?」と考えながら、父は台所へ入った。

台所のドアは、閉まっていた。 開けて入ると、誰もいない。
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(c) ぱぱ〜ん写真素材 PIXTA


ドアのない台所の続き部屋からは明かりがもれていたので、そちらへ足をむけた。

そこへ入ると、母と叔母たち(母の姉妹は3人いた)がお菓子をつまみながら、おしゃべりをして笑っていた。


誰も台所へは来ていなかった。

「居間と台所を行ったり来たりする連中は、しょっちゅう見たよ」
と父はいう。
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「あんなもんは、それまでは全く信じてなかったけど、自分が見ると、信じるしかないもんだ。
見えるんだから、いるとしかいえないさ。」

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(c) 使用上の注意写真素材 PIXTA
「やっぱり、いたんですか・・・?」 「いたね。でも、何も悪さはしなかったから。ちょっとびっくりするくらいがせいぜいだよ。」


「・・・日本の幽霊は悪さをするのが多いんですよ。祟るんです。家族が病気になったりするし」

「あの家の幽霊は、なにもしないよ。出るだけさ。」

イタリアの幽霊は日本とちょっと違うのかもしれない。


幽霊に手を焼いていた当初は当然、家を買い直そう、という案がでた。

ところがそれが本決まりになるまでには、持ち主のおば夫婦は幽霊たちにすっかり慣れてしまったという。

とにかく、あまりに頻繁にその「影たち」が現れるせいだ。

お金が貯まるまで、と我慢しているうちに、慣れてしまって、共存の道を見つけたのだ。
そのうち気にならなくなったし、おかしな現象も少なくなったそうだ。

「ふつうの人間が同居してると思おうとしたのよ」
「そうそう、見つけたら、ああまた出たなって感じで」
その精神状態に行き着くまでに、どのくらいの幽霊をみたのか想像もつかない!


「それでも、一度だけ、本当に怖かったことがあるの。幽霊と話したのよ、私。」
母の体験談だ。 (次に続く)

幽霊屋敷で休暇を ①(前回) | ③ (続き)

6/13/2010

幽霊屋敷で休暇を①

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イタリアの学校は長い長い夏休みに入りました。

なんと、子供時代の夏休みを幽霊屋敷で過ごしていたアレックス。
体験談を3回にわけてお送りします。

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それはレンガづくりで二階建ての一軒家で、
南イタリアはモリーゼ州の、アドリア海に面した丘の上に建っていた。
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(c) Sylvia写真素材 PIXTA


庭木の間からキラキラと輝く海が見え、家のまわりを花壇と菜園が囲んでいた。

そこには、アレックスのおば一家が住んでいて、海まで歩いて3分という立地のおかげで、アレックスが子供のころは毎夏、家族の避暑地になっていた。



その家には幽霊がでた。
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家族だけでなく、来客にも、郵便屋さんにも、運が良ければ(?)誰にでも見えたので、地域でも幽霊屋敷として有名だったのだそうだ。

一番よくあったのは騒音で、とくに廊下で大勢がドタドタ走り回る音がした。
家族が居間でくつろいでいると、その音は家中をかけぬけたあげく、ピタリ、と止む。

廊下を見ても誰もいない。

ドアを閉めていると騒音がよく起こったため、廊下に面したドアには重石をして年中開けっ放しにしていたそうだ。それでも、いつの間にか閉まってしまうという・・・・・

陽のまだ高い、夏の午後。
アレックスのおばは、裏庭でパスタソースに使うトマトをもいでいた。

裏口のドアが見える位置にいて、磨りガラスのドアの内側に人影が映ったのを目の端でとらえた。

人影はしばらく動かないので、当然家族の誰かだろうと思った。それも女性。


おばが手をとめて立ち上がると、その人影も動いた。

すっとドアから姿が消えて、左へ歩き出した・・・と思ったのは、間をおかず、裏口の左側にあるバスルームの窓を横切るその女性の姿が見えたからだ。

写真素材 PIXTA
すぐにそれは、「人」ではないとわかった。



なぜなら裏口の両側には壁があるだけで、バスルームへは他の部屋からしか入れなかったし、
バスルームの窓辺にはバスタブがあって、そこを歩くことはできなかったからだ。

窓の写真(c) リョウ写真素材 PIXTA





またあるとき、少年だったアレックスは二階の部屋で昼寝をしていた。
寝返りをうって、部屋の中ほどに顔を向けた時、そこに誰かが立っているのが見えた。



それは、ベージュのシャツと同色のズボンをはいた中年男性だった。
アレックスは寝ぼけながら、お客さんかな、と思った。


そのおじさんは、顔中に黒々とヒゲを生やしていて、眉毛とヒゲの奥に引っ込んだ目でアレックスを凝視していたが、 突然、

コツ、
コツ、
コツ、

とベッドの方へ近づいてきた。

兵士の写真 オリジナル リンク

あと2歩でベッドに着くというところで、驚いて飛び起きると、いなくなっていた。

開いていたはずの部屋のドアは、閉まっていた。

昼寝の後、なにげなくマンマに「さっき誰かいたよね?」と話したことで、それはお客ではなかったことがわかった。

次回の別のエピソードに続きます。


幽霊屋敷で休暇を ② | 


6/09/2010

トリエステの猫 1

トリエステはイタリアの東端、フリウリ・ベネチア・ジュリア州の街。

こんなとこ!


この地図を友達に見せたら「そんなとこ、もうイタリアじゃないし?!」って。
まあ、そう見える(笑)

実際、トリエステは長きにわたり(1382年〜1918年!)ハプスブルグ王家の支配下にあったので、オーストリアの文化がしっかり根付き、まさにイタリアの中の異国です。




それから、トリエステに入ってすぐ気がついたんだけど、ここって、隣のスロベニア(旧ユーゴスラヴィア)と本当に近接してるのね。

携帯電話が国際ローミングに切り替わった(つまりイタリア国外に出たと認識した)もん。

そんなわけで、トリエステはイタリアにありながら、スロベニア語、ドイツ語が平行して話される、コスモポリタンなわけです。

道ゆく人も、食べ物も、イタリアというよりオーストリアかドイツ。(スロベニアは行ったことがないから、ちょっとわかりませんが。)

まあ、国境が入り組んでるヨーロッパでは、国境の町なんてどこもこんな感じなのかしら・・・お互いの文化を尊重し合ってる感じがしました。

さて、小難しい話はおいといて、トリエステの猫の写真を。

この猫たちは、海を望む城塞「ミラマーレ城」の庭園に住んでいます。
もちろんノラ。
 ほかにもたくさんいました。




見たところ、おたがいケンカもせずに、テリトリーを守って平和に暮らしているようです。

まるで、トリエステの人々とその歴史の縮図を見てるみたい・・・。

なんて。潮風にあたりながら白ワインを飲んで、ロマンチックになりすぎたかな。

6/08/2010

トリエステの猫 2

トリエステ市内からバスに乗り、
海を片手に山肌をぬって上へ上へと登って行くと、
あと3キロでスロベニア(旧ユーゴスラビア)の国境、というあたりまで来ます。

そこにあるのが、鍾乳洞「グロッタ・ジガンテ」(サイトはこちら)。
観光のできる鍾乳洞では、世界最大なんですって。

石灰質の土壌を雨水が浸食して、地下に大運河が形成され、
それが年月をへて干上がり、
今は空洞化して洞窟になっているそうです。

こんな石筍(せきじゅん)がたくさんあります。これは高さ12m!

「世界一の大きさの空洞で、バチカン市国にあるサンピエトロ大聖堂がまるっと入っちゃう大きさなんですよ!」ガイドの方が説明してくれました。

これがまるっと地下に入る!
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(c) snaoy写真素材 PIXTA


で。トリエステの猫 第2弾。

この猫たちは、洞窟のチケット売り場の前にいた、姉妹ねこ。


入り口に寝そべっていて、あたしたちが近づくと・・・
「ちょっと、起きなさいよ、お客よ!」


「えー。あ、ほんとだ。しゃーないな、起きるか」
で・・・

「いらっしゃいませ〜」
「何か食べ物ください。」

 でもね、この時点では、無視されちゃうんですよ。

ところが。

・・・洞窟の観光を終えて、階段をヒーヒー言いながら登って(500段とか!)くると、
ちょうどこのフェンスの裏がわに出てくるんですが、
その時が勝負。

やっぱりここで、この2匹が待っていて、「ごはん〜?」と見つめてくるわけです。

シュレックの猫にも似た、濡れた瞳がフェンス越しに4つ。
Shrek Cat Pictures, Images and Photos

どうもこれは、アドレナリンが大量流出している人間のハートにいたく訴えるようで、
たくさんサンドイッチをもらっていました。

飲食ビジネス(?)の成功の鍵は、「1に立地、2に立地」を当然知っている、
トリエステの猫でした。

Grotta Gigante
Borgo Grotta Gigante
Sgonico(trieste)
www.grottagigante.it

シュレックの猫 リンク(http://media.photobucket.com/image/shrek%20cat/iampeyo/shrek_cat.jpg)

6/07/2010

イタリアの小学生 VS 販促企画

「父母各位 ○○出版社 夏休み直前特別企画 『百科事典のご案内とUFO映画へのご招待』


学校でもらったビラでクラスは騒然としていた。
これはアレックスが小学4年生の時の実話。

小学4年のぼくらにも、これが○○出版による、百科事典の販売促進のための企画だということは余裕で読めた。
それさえわかっていれば、出版社がタダでみせてくれる、話題のUFO映画を見る機会を逃すヤツなんていない。
逆に、これに参加しなければ、クラスでバカにされることは間違いない。
「オマエ行かなかったのかよぉ〜!?」って。

「辞典、買わないからな」「わかってるって、父さん」
日曜早朝の映画館の椅子は、近隣地区の小学4年生で埋められた。

時間から数分遅れて劇場が暗くなり、通常通りに映画が始まった。
開始30分ほどしてから百科事典の説明があるのだという。


タイトルは忘れてしまったが、そのUFO映画はけっこうな話題作で、最初の30分はあっという間に過ぎた。

UFOから宇宙人が降りてくる・・・おおおお!と息をのんだところで、館内に明かりがついた。

劇場のうしろから、2〜30人のスタッフがあらわれ、
百科事典を手に座席の間を回り、辞典を子供2人に1冊ずつ配り始めた。

「ええー。これから○○出版の百科事典について説明を・・・」
スクリーン前ではスーツ姿のおじさん(15歳以上はすべておじさんに見える)が説明をしている。

ぼくらの頭の中は、さっきUFOから降りてくるはずだった宇宙人のことで一杯だったが、
百科事典をひっくり返したり、おしゃべりしたりして、時間をつぶした。
説明は1時間もつづき僕らはうんざりしはじめた。

「誰か、買うのかな。」「おれは買わない」「そうだよな」
あとでクラスに聞いたところでは、1人が買っただけだった。
大した販促企画だ。

それはおいといて。
辞典の説明が終わって館内の照明が落ち、映画が再び始まることとなった。

さっきの緑色の宇宙人のことで、ぼくらはこの1時間わくわくしっぱなしだった。

・・・ところが

映画は、宇宙人が人間に負けて、地球を離れていくところを映しているではないか。

もう、映画の「終わりの数分」の様相を呈している。


ぼくらはショックで凍りついた・・・販促企画のあいだにも、映画は回り続けていたのだ。

映画館はぼくらだけのために貸し切りをするのを渋って、次の放映にあわせて映画を映し続けていたようだ。
つまり、1時間の百科事典の説明の間に、90分ほどの映画はおわっていたわけだ。

販促企画は失敗、子供が勝利したかに思えたが、漁夫の利を得たのは、なんと映画館だった。

エンドロールがながれる映画館を後にして、ぼくらは、
「もうこの企画とオトナは信用しない」とココロに誓った。

・・・今でも、アレックスの同年代には、この一件は伝説として語り継がれているとか。

ちなみに翌々年から、その販促企画はなくなったそうだ。

6/01/2010

倫敦の雨

一口に「雨」、って言っても、実は種類があるんじゃないか。

と思って、ちょっと調べたら、ぞろぞろ22種類も出てきた。
春雨、氷雨、驟雨(しゅうう)、篠(しの)つく雨・・・。



種類わけしていうと、
イギリスの雨は、
降ったり止んだり、何日にもわたって続く「霖雨(りんう)」というか、
しとしとと何時間にもわたって降り続く「地雨(じあめ)」になるのかな。

なかでも典型的なのは、
強い風とともに、降ったり止んだりする細い細い雨。

霧雨に近い細さの雨なんだけど、風が強いので雨が横から降る。
だから、傘をさしても意味がない:しっかり濡れる。

なるほどロンドンっ子のフロックコートと帽子は、
必要があって生まれたのだわ、と実感する。

傘の向こうの、雨のベールのさらにむこうにあるロンドンを歩く。

傘を閉じたとたんに、街の喧噪が耳に飛び込んでくる。
コスモポリタンという言葉どおりに、聞こえてくるのは、英語と外国語が半々。

意外においしいコーヒーと、レベルが上がったサンドイッチ。

夜も開いているお店、黄色い街灯がともる住宅街、
赤い2階建てバスの走り抜ける道と、人がぞくぞくはきだされてくる、地下鉄の出口。

あ。雨が止んだと思ったら、また、降ってきた・・・


イギリスでは、こういう雨はDrizzleとよばれてて、
辞書には「霧雨」として載ってるけど、
あたしの感覚でいえば、霧雨とはちがう気がする。

適当な表現がないなら、あたしは「倫敦の雨」とでも呼ぼうかな。

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