9/22/2010

ナンパした

買い物がしたくて、街の目抜き通りにでかけた。

中央駅からまっすぐ伸びた、ローマ通り。

いくつか大きな広場を抜けて、王宮に突き当たるまでの1.5kmくらいの
円柱に支えられた屋根のある大理石の歩道。

空は秋晴れ、風はそよ風。気持ちのいいお散歩日和。

女友達のジェーンとあちこちの店に入ったり出たり、
カフェに座ったりベンチで休んだりしながら午後を過ごして
ようやく、
目的地のひとつ、老舗のおいしいものやさん(1884年代創業)に辿り着いた。

大きな広場にあるお店で、ウインドーには街の名産品のおみやげがディスプレーされている。

チョコレート、ワイン、クッキー、色とりどりのゼリー菓子やなんかが、シックな包装紙と落ち着いた色のリボンをかけられた箱に入ってる。

店の中に入ると、
100年以上かけて磨き上げられて飴色になった木製の棚が壁に立ち、その棚からはワインやチョコレートやクッキーたちがお客を見下ろしている。
入るのにちょっと気後れしちゃいそうな雰囲気は、イタリアの名店の典型。

別室には、もっとたくさんのワイン、特にこの地方名産のものが天井に届く高い棚に並ぶ。

と、そこに、ワインを選んでいるアジア系男性が。

さっそくジェーンは
「こんにちは。どちらから?」

(まてまてまて〜!いきなりナンパか!?)

と引いてるあたしをしりめに、

「え?日本人?どの辺?東京?」と、ジェーンの質問攻めが炸裂。

しょうがないので、あたしも参加(注:男性に加勢のため)。

「ああ、横浜ですか。東京の近くだよ、ジェーン」

「お仕事で?ここに住んでるの?」
ジェーンはもう止まらない。

「ええと、仕事で。ぼく研究職なんですが、ここでカンファレンスがあって。」
「おみやげですか?でもワインなら、ここ高いわよ」とジェーン。

実際ジェーンは正しい。
この店、目抜き通りの歴史あるお土産屋さんだけに、市価の3割増?
とりたてて便利でもないのに、コンビニ価格なのだ。

ちょっと1−2本道を外れれば、確実に安いし、スーパーで買った方がさらにいい・・・とつぶやくあたし。

「え?じゃあ、近くに安い店、ありますか?」
と、ちょっと喜ぶ男性。
「・・・いやー。ちょっと具体的にどこって説明できないんですよねぇ。できる?ジェーン?」
「無理。」

「ああ、お時間あったら、一緒にその辺の別の店、いってみます?
どうせあたしたち、ぶらぶらしてるだけだし」
あたしはいちおう誘ってみたが

「いや、ちょっと・・・あのう。時間が・・・。
ええと、今日はこれから・・・えっと、忙しくて。
ありがとうございます。でも・・・」

気がつくと、ナンパしてドン引きされているのは、結局はあたし、だった。
ジェーンにまんまとのせられた。

さて、あたしはその店で何を買ったかというと、 今週末ミュンヘンで会う友達家族のために、 このお店の有名な「白いジャンドゥイオット」 。
一口でいえば、瓶に入ったホワイトの練りチョコ。

「どうも・・・」
男性は、ちょっと恥ずかしそうにお辞儀をしながら、2本のワインをぶら下げて店を出て行った。

それを見て、ようやく激しい羞恥心が湧いてきたあたしは、 品物を手に店のドアを出て
赤くなった顔を秋風で冷やした。
ジェーンはとなりで台湾の「Sorry」とかいう歌の鼻歌を歌っていた。

2 件のコメント:

  1. よく女性に話しかけられます
    それも、年上の女性…

    若い頃から、そうでした
    きっと話しかけられやすい雰囲気なのでしょうね

    そのうち再会なさるかも?^^

    返信削除
  2. FREUDEさん

    気どらない雰囲気の方って、人混みでも実は目立つんですよね。

    そのうち、あたしがFREUDEさんを見つけて声をかけるかもしれないです(笑)

    ・・・あ、またナンパ?

    返信削除