5/26/2011

時差0時間

ただいま、時差0時間でブログ更新してます。

昨日、日本に帰ってきました。妹の家にお邪魔しています。

アメリカに引っ越しするまえに、日本でやっておかなければいけないことがいくつか発生しまして・・・
急きょ、3日前に飛行機をとって、一昨日朝に乗り、昨日帰ってきました。

ついでに、つわりも日本で治してしまおうかなぁと(笑)。

現金なもので(というか、体と心はやっぱり一体なのでしょうか)、昨日からなんと、ほぼすべての食べ物が口にできるようになりました。

日本マジック。

やっぱりあたし、ホームシックもあったんですね、きっと。
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(c) sono写真素材 PIXTA


昨日、いただいていたコメントにお返事を書きながら、
「ああ、今日はこの時間にみなさんご飯を食べていらっしゃるのかしら」とか
「同じテレビを見ているのかも」
なんて、みなさんと時差0時間の楽しみを味わっていました。


日本は、初夏ですね。

出発前のイタリアは、気温が30度になるような夏日が続いていましたので、今年は初夏を二度やる計算になります。

ヨーロッパから日本に降り立つといつも思うのが、この湿気。
「温帯湿潤気候」なんて昔学校で習いましたが、やっぱり日本は湿度が高いですね。


とくにイタリアは空気が乾燥しているので、(洗濯物があっという間に乾きます)実感もひとしお。
この日本のまったりとした湿気の中にいると、それだけで心が潤う気分になります。
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(c) ノリヲ写真素材 PIXTA


光の色、緑の種類、雲の形、空の高さ。
すべて、「記憶していたのと変わらない」と気がつくことには、ちょっと比類のない快感があります。

そうそう、このおうち、住宅地のど真ん中にもかかわらず、夕べはカエルの声が聞こえていました。
日本に帰ってきたんだなあ、と、今朝の時差ぼけの顔を窓の外に突き出して深呼吸したときに感じました。

予定では、1か月くらい滞在するつもりです。

気の毒なアレックス・・・・なんですが、どうせテキサスに3週間の出張が入っているので、それなりに忙しくしていることでしょう。

そんなわけで、しばらくの間、あたしとアレックスの時差は7時間、あおぞら共和国は日本に移動してお送りいたしますw 

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5/23/2011

光を授ける

先日からの体調不良から、なんとか復活してきました。(5月3日の投稿 復活しました〜
先週からは、だいぶ気分が良くなりました。


みなさんから思いもかけないほどたくさんのメッセージを頂き、本当に言葉に言い表せないくらい感激しました。ものすごく元気が出ました。
ありがとうございました。

先日ブログをお休みしている間、「どうしようかな?」と考えつづけていたのが、この投稿のこと。
「果たして、言うべきか、言わざるべきか」。

アレックスにちょいと相談すると「言わなくていいよ〜。そんなプライベートなこと。」とのことだったので、そういうもんかな。と最初は思ったのですが。

みなさんから励ましのメッセージをたくさん頂き、考えが変わりました。
あたしは、ブログ上でも、お友達ときちんと向き合ったおつきあいがしたいのです。
だから、お話することにしました。

それにね、今まで、創作ぬきの完全ノンフィクションでやってきたので
これからもやっぱりそれを続けよう、
と、猫の重みと温かさを感じるベッドのシーツの下で、決心したわけです。

そんなわけで、前置きが長くなりましたが、

「私、おなかに赤ちゃんができました。妊娠4ヶ月です。」

ですから、先日の体調不良は、つわりだったんです。
だいぶ良くなったとはいえ、今でも時々吐き気が襲ってきます・・・。
このつわりの辛さうんぬんは、(ぜひここでぶちまけたい気分にはなりますが)書くのは止しておいて、今日はこの一言だけ。


イタリア語で、赤ちゃんを産むことを「Dare alla luce ダーレ・アッラ・ルーチェ」というんです。

dare=動詞「与える」 la luce=名詞「光」
だから、直訳の意味では「光を与える」というんですね。

ちょっと素敵でしょ。
お腹の中の闇の中にいる赤ちゃんが、光のもとに生まれてくる
つまり、母親が赤ちゃんに光を授けるということ・・。

なんとも神秘的、ロマンチックではありませんかw

きっとこれ、旧約聖書(創世記)にもある

「初めに、神は天地を創造された。
地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。
神は言われた。『光あれ。』こうして光があった。」

これとも通じる発想なんでしょうね。
なかなかやるな、イタリア人。

今年の12月に赤ちゃんが初めて見る光が、
アメリカのものなのか、日本なのかイタリアなのかはまだ決めていないのですが
(体調次第なので)、とにかく無事にこの数ヶ月を乗り切って、またみなさんに赤ちゃんと一緒にご報告ができますように。

そうそう、
ここのブログを「妊婦・出産日記」にはしませんので、どうぞまた、時々覗いてやってください。

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5/20/2011

アンジェリーナ

あたしが読んでいる「Gomorrah」というイタリアマフィアについての本、第2章のあらすじをお届けします。

第1章が気になる方はこちら・・・「春の午後」


ナポリの近郊には、縫製工場がひしめく地域がいくつもある。

洋服に限らず、靴、リネン用品、ソファー、財布やアクセサリーなど、縫製ならなんでもこなす小規模な工場が軒を連ねた地域だ。かつてこの地域では、イタリア最高の製品を生産していた、つまりは世界で最高の仕事をしていたという。

Photo : indierealm.com

そんな栄光の日々を謳歌したこの地域だが、そこには見渡す限りの布の海と、商品と縫製用ミシン、職工たち、そして雨風避けにすぎない薄汚れた建物群があるだけだ。

そこには、職人たちのトレーニングも家族への生活保証も病欠も、経営マニュアルも業務企画も、現金以外の取引もない。経営の素人でも長年のプロでも、明日の保証のないところ、ここはそんな場所だ。

発注された商品を「最短に最安値」で、もちろんそれにふさわしい縫製に作りあげた経営者が勝ちだ。一発あてれば明日がある、そうでなければ数ヶ月後には撤退を余儀なくされる。

昼夜兼行で稼働する工場と、12時間労働。
縫製職人にとっては酷い待遇だが、日々の糧を得るために僅かな賃金500ユーロ〜800ユーロ(6万円〜10万円)を求める者は絶えることがない。ここはそういうところなのだ。
Photo dal sito di "Comune di Napoli"

マフィアがからんでくるのは、「現金取引」の部分。
工場経営者は通常、商品と引き換えに代金を受け取る契約になっているため、製品製作中に発生する人件費、設備費、税金等を自分のポケットから出すことになる。
まとまった現金の作れない者は銀行か、マフィアの運営する闇金融に頼る。
なんとマフィア金融の利息レートが一番低い。ゆえに事実上マフィアの独占状態なのだ。


そこにパスクワレ、という名の男性がいる。何万人もの縫製職人の中でも抜きん出た、神業のような縫製の才能をもった人物だ。

布の裁断の向き。縫製した耳の部分の質感と糸の強さ。
この質の布を何度洗えば色が落ちるか。あるいは変質するか。
できあがった洋服の中に人間の肉体が入って筋肉がどう動くか、手のひらを内部に滑らせていると想像ができるという。
縫製の全てを知り尽くしたパスクワレの元には、個人的に注文が殺到する。文字通り世界中から名指しで。
Photo Cinemavistodame.com "Gomorra"

彼はコレクション用オートクチュール(一点もの)を縫う。
著名ファッションデザイナーのゴーストとして働く。
そして期待に違わぬ仕事をする。
だが、彼は工場主から依頼を受けるだけ、縫ったドレスやスーツがどのデザイナーにどう使われているのか、知る由もないのだ。

ある日、彼はたまたまテレビの画面を見るともなしに見ていた。
そこに映ったのは、アンジェリーナ・ジョリー。
image: mailonline (本文とは無関係ですw)

アンジェリーナは、彼が数週間前に作った白いスーツ
 ーー布を選び、裁断し、縫製し、アイロンをかけたもの、彼は未だに全パーツの寸法をいうことすらできたーー 
を着て、ハリウッドのレッド・カーペットの上に立っていた。


イタリア某デザイナーのデザインで、えも言われぬ美しいシルエットをもったスーツだ、彼女の魅力を引き立てている、と解説が入った。

パスクワレは、月800ユーロ(10万円)の賃金の範囲でそのスーツを縫った。
彼は静かに画面を見つめ続けていた。


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5/18/2011

嫁姑戦争 〜嫁

前回「嫁姑戦争 〜姑」からの続き

一方、こっちはあたしに近い世代のお嫁さんたちの話。


嫁1「うちのお義母さん、子供をこうしろああしろ、これはダメ、あれならいいってとにかく口うるさくて!それも、迷信ばっかり。現代ではそんなことしないんです!って言うのにね」
嫁2「うちはね、『どうせあたしの言うことなんて当てになりませんからね』っていうのがふたこと目なの。ちょっと被害妄想なんじゃないかしら」
(あたし:テキトウに聞き流して、ハイハイ、って言っときゃいいのに)

嫁3「うちのババア(!)、毎日うちの彼に電話かけてくんの。それも、彼の携帯に何回も!今どこ?何してる?今日は何食べた?だって。

なんか恋人みたいでキモくない〜?でね、彼もひどくて
うちのママが、週末くらいは前菜、主菜、デザートを家で作って食べさせろって言ってたよ』って。信じられない。」
(あたし:それはお姑さんとご主人ばかりか「ババア」呼ばわりするあなた自身にも、問題があるのでは・・・)

写真素材 PIXTA
(c) 鮎太朗パパ写真素材 PIXTA

嫁4「自分たちは、自分の義理の親とほとんど絶縁しちゃってるくせに、あたしたちには要求が高すぎるのよね」

嫁5「そう。自分のできなかったことを、他人に強要するのってどうかと思う」

嫁6「近所で陰口叩いてたりしてさ、あたしが行くと近所中のオバちゃんから白い目で見られるのよね。気にしてないんだけど、それでも嫌よね」
(あたし:どこの国も、同じなんだ・・・・)

ところで、あたしと我が家の姑の関係は、そう悪くない。
強がりでも自慢でもなく、そうなのだ。というのも、当初から、
義理の両親とあたしは外国人同士なので、最初からお互いに「わかりあえない」という認識が確立していた。それが逆によかったようなのだ。

時々、「うむむ・・」ということがあっても、
相互に「ま、ね。見ないふり聞こえなかったふり。気にしないことにしよう」
というゆとりが生まれたようだ。(正直たまに衝突しそうにもなるが)
だから、1年半前に義父が亡くなって、「嫁姑間の緩衝剤」がなくなってしまってからも、予想以上にうまくいっている。
(ちなみに義父が義理の娘をかわいがる傾向があるというのも、万国共通のようだ。)

あと、あたしが運がよかった点は、嫁姑の間に立つアレックスが自分の立ち位置を理解していて、母と嫁、どちらの肩ももたないこと。その場では臨機応変に対応して聞き流すものの、どちらの小言も相手側には一切言わない。
だから私は「アレックスは一応あたし側だ」と考え、義母は「私の息子は私の味方」だと思っている。
http://www.chrishorner.net/2010/08/16/70-years-ago-this-week-the-battle-of-britain/
これが嫁姑戦争の狼煙(のろし)を対岸に遠ざける、英仏海峡の役割を果たしているのではないかと思っている。


しかし、あたしとはまあまあうまくやっているうちの義母と、アレックスの弟の奥さんとの関係は決して良いとは言えない。
はっきり言って、お互い敵視しあっている。
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(c) kiyo写真素材 PIXTA

義母が最初から結婚に反対していたせいもあるのだが、とにかく嫁に対する採点が辛く、何をやっても満足しない。
嫁の言うこと、ちょっとした正当なお願い(濡れたベランダで子供をだっこしないで、甘いものは控えて、など)にも耳を傾けない。孫の機嫌をとるために、逆のことをやる。
「ママはいつも怒って怖いわねぇ〜」と孫を洗脳しようとしている。

義妹のほうも対抗して、あらゆる言い訳でもって義母の家には近寄らない。子供を連れてくるのも息子だけだ。
そのくせ義母に利用価値のあるときは(例えばベビーシッターがいるとき)連絡してくる。
いらないプレゼントは突き返す(!)くせに、お小遣いを子供にせびらせる。

普段から義母のことをよく言っていないせいで、
子供たちも幼児のころから義母を煙たがる始末なのだ。


そんなわけで、傍目にみて、関係が今後改善するとは思えないのだが、家族となってしまったからには今後も縁を切ることはできないのだ・・・ああ恐ろしや、結婚生活。

ディンドン、ディンドン♪のウエディングベルの後に、こんな罠があったとは。

はてさて、解決のめどの立たない嫁姑問題と、その間に立つ気の毒な夫。
そんなの自分のうちだけかと思いきや、
実は世界のあらゆるところで、嫁と姑、女同士の戦いは今日も勃発しているのだ・・・



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5/16/2011

嫁姑戦争 〜姑

教会の前を通りかかったら、ちょうど「おめでとう!おめでとう!」
の声とともに、教会の正面から新郎新婦が現れるところだった。

家族や友人一同が、手に手にお米をもって、それを新婚ほやほやの2人に投げかける。ライスシャワーというやつだ。
Photo by marta wedenissow

ぴかぴかの笑顔が日だまりのタンポポよりまぶしい新郎新婦。
結婚式は、見ている方も幸せで胸が熱くなる、素晴らしい日だ。

花吹雪が白いお米に混じって散った階段と、石造りの街並にウエディングベルがいつまでも鳴り響いていた。



結婚が人生の終点、みたいに思っていたのはいつだったろう。
すてきな人と出会って恋をして、真っ白いドレスに包まれて、ウエディングベルを聞く。その先を想像しなかったあの時代。
今ではこんなあたしでも、かわいいころがあったものだ。

結婚すると、結婚相手とともにその家族が自分の家族になる。
これは、意外と盲点だった。
そんなことは「予想していた」のだけど、知っているのと実際体験するのは大違い。
やっぱり他人を家族として受入れるというのは、万国共通、誰にとっても難しいものなのだ・・・。
特にここ2年、アレックスの家族と同居するようになって、それを再三再四、感じた。

先日のことだが、
うちの近所のおばさんたち4名がうちの義母&叔母を訪ねて来て、コーヒーとお菓子片手に数時間おしゃべりして行ったのだが、世間話が次第にエキサイトして嫁の悪口大会になった。
あたしは自室でパソコンを叩きながら、徐々に大きくなる声が窓から侵入してくるのを、否応なく聞いていた(笑)。

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(c) 17AZ写真素材 PIXTA

姑1「うちの息子のお嫁さんときたら、ピザもまともに作れないってわかったの!」

姑2「あら〜。それは酷いわねー。あんなもの、どうやってまずく作るのかしらね」

姑1「あの子は、何を作らせても、塩味が全然足りないのよ!」
(あたし:それは、好みの問題では・・・?)

姑2「うちの嫁なんて、洋服のボタンの一つも付けられないの!息子がボタンつけて、ママ〜。って持ってくるのよ」

姑3「うちなんて、あたしが毎週末、息子のシャツにアイロンかけてるのよ!嫁がやると着られたもんじゃないのよね。息子も、ママのほうが上手だっていうし♥」
(あたし: そりゃ、親離れしていない息子も息子なのでは・・・?) 

姑4「母の日にお嫁さんからプレゼントもらった?」
うちの姑「お菓子だったわ、うちは。まあ、いらないって言ったんだけど、買ってきちゃったのよね」

うちの叔母「そうそう。いらないって言うのにね。まあおいしかったけど」
(あたし:あたしが部屋にいるから気を使って言ってるな・・・・)

姑1「うちなんて、母の日に息子しか訪ねて来なかったのよ!嫁は自分の母親のところに孫連れて行っちゃったんですって!んまあ嫌らしい。」

姑2「そうそうそうそう!!!どうもあっちが優先されちゃうのよねぇ。
夏も、息子の孫はあっちの家族とばかり一緒にいて、ちっとも会えないの。
娘のほうはよく帰ってくるんだけどねぇ。」
(あたし:嫁が自分の母親のところに行きたがるのは、無理はないと思うのだが・・・)

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(c) 鮎太朗パパ写真素材 PIXTA
とまあ、お姑さんたちには、彼女らなりのいい分があるようだった。


対するお嫁さんのいい分は、次回につづく・・・

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5/14/2011

テニスの試合とお飲物

アレックスが先週末テニスの試合をしに行った。
といっても、所属しているテニスクラブ内だけでの試合なので、お遊びの延長だ。

なんとアレックス、その日は対戦相手に恵まれて準決勝まで勝ち進み(しかしそこでぼろ負けした)、決勝は観客席での観戦となった。
その試合のあとのこと。
テニスクラブが決勝を観戦していた人たちに、飲み物と軽食を振る舞った。

ところで、これはテニスをしていると、よくあること。
テニスのトーナメントを開催すると、下手すると一日中試合があったりする。そういう場合に、クラブ側が試合の合間や試合後、「気分転換」や「お疲れさま」のリフレッシュメントを提供するのだ。

しかしあたしが驚いたのは、イタリアのテニスクラブでは、冷えたスパークリングワインが出されるということ。もちろん試合後の乾いた喉には、冷えた発泡ワインの一杯なんてあっという間に入ってしまうので、たくさん用意されている。
(飲酒運転は大丈夫なのだろうか?ーーはい、大丈夫なのです、イタリアですからw)

タラッリ   
確かにイタリアはワインが安いが、こういうところでさりげなく泡のワインを出されると、テニスクラブの株も上がるというものだ。あたしならもちろんこのサービスにA+をつける!

一緒に出されたおつまみは、タラッリという輪っかになった乾パンのようなものと、ポテトチップス。これが昼間の軽食だったら、ピザや小振りのサンドイッチ、オリーブやサラミやチーズが山のように出たはずだ。



http://pipercubeba.blogspot.com/2010/11/stuzzichini.html

http://ilgamberetto.blogspot.com/2010/06/stuzzichini-tricolore.html



ちなみに、アメリカのテニスクラブだとどうか。
アメリカでは、同じ場面でビールやコーラが出る。
http://www.mcfats.com/
それもちゃんとノンアルコールやカロリー低めのものまで用意されているところがアメリカならでは。軽食ではホットドッグ、バーガー、ポテトチップスが王道だ。そのまま家族交えてのバーベキュー大会になるときも多い。
こんなことにも、やっぱりお国柄が反映されるのだ・・・。






 しかし、ここで驚いてはいけない。テニスの発祥地イギリス。
さあ、イギリスのテニスクラブのお飲物はなんでしょう?


アレックスが初めてイギリスのテニスクラブで対抗試合に出たとき、帰宅早々
「紅茶だよ!紅茶が出た!紅茶とビスケット!」
と興奮して話してくれた。
イギリスのテニスクラブでは試合の合間に、マグカップに入った熱い紅茶を飲むのだそうだ。

http://www.fotolibra.com/gallery/23406/victorian-tennis-and-tea-on-lawn-circa-1880/


想像してください、コートわきのクラブハウスで、きちんとテーブルに着いた紳士淑女たちが、ティーバッグの糸がぶら下がった紅茶の湯気をかぎ、そこにミルクを注ぎ、お皿に盛られたクッキー(のことをビスケットとイギリスでは呼ぶ)を食べる姿・・・。
なんだか古き良き英国を感じませんか?





しかしながら、イギリスでは、試合「後」は話がまったく別。

「パブ!パブでとにかく一杯!」
シャワーを急いですませ、みんなで近場のパブ(ビアホール)に繰り出して、まずは1パイント(568ml)。さっきまでの静かな紳士ぶりが急変し、気の利いたジョークと笑い声がパブに満ちるのです・・・。
http://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/retailandconsumer/8086093/UK-pub-goers-drink-88m-fewer-pints-as-beer-sales-drop.html

http://www.guardian.co.uk/uk/2006/jul/01/health.drugsandalcohol


「来週さあ、こないだの試合で知り合った人がテニスに誘ってくれたんだけど。いいかな?」
アレックスが訊く。
いいよお。こうして交遊の輪が広がるのは、スポーツのいいところだなあ。
次回はあたしも、試合を観戦してお相伴にあずかろうかしら。

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5/09/2011

エピローグ、プロローグ

 
 これまでのきんぎょ騒動は・・・
 でお送りしています。





2009年7月。

イギリスを引越してイタリアにゆくという海外引越しの最終段階、最後の一週間にに入って以来毎日、
段ボール箱をガムテープでとめては積み上げ、
箱に入って邪魔をしたがる猫を蹴散らし、
毎晩、食事に呼ばれて午前に帰宅し、
毎朝、かれた喉と筋肉痛とともに目覚める日々が続いていた。

羊たち。毛刈りの直後。


こんな混乱したイギリス生活も、最終日が翌日へと迫り、
イタリアナンバーをつけた引越しトラックがやってきた。

ただし、

東ヨーロッパの母国語しか話せないトラックドライバーと、
英語もイタリア語も話すドライバーの奥さんが、うちの玄関のドアを容赦なくたたいたのは、朝6時半のことだった。

繰り返しますが、朝、6時半のことだった。

たまたまトイレに起きたアレックスが窓の外を見たら、イタリアナンバー「I」をつけたトラックがアイドリングしているのを見つけ、ガウンをはおって玄関まで見に行ったのだ。

「トラックが来てる・・・・!」あたしはアレックスの悲鳴をベッドで聞いた。
ノックがあったのは、その30秒後だった。

普通なら、ひとは、朝6時半に、他人の家を訪問しない。

ましてや、昨日あるはずだった、トラック到着時間確認の電話連絡もまったくないまま、引越しトラックが、荷物の積み込みを強要したりしない。

しかし、この人たちには、一般論は通用しなかった。
「すぐ折り返して出発したいんで、ヨロシク!」というのが挨拶だった。

あたしがほんわかと包まって寝ていた前日のアレックスの会社の送別パーティーのなごりも、筋肉痛も、ベッドの端で丸まっている猫も、シーツごとけとばして、いきなり荷物の積み込みがはじまった。

乾燥途中のバスタオルや、お箸やコップをとりあえず箱に押し込んでテープでとめた。なにがなんだか、もうわからない。

荷物が完成していなかったので、暇をもてあまして、タバコを吸いにいったドライバーを見て、怒りがふつふつとこみあげてきた。

早朝、私が通常住んでいる宇宙の法則では、人がまだ寝ている時間帯に、ドアをノックする、この非常識さ・・・・!

「何時だと思ってんだ。出直してこい」と罵るのをこらえた仏頂面のあたしをなだめつつ、
トラックドライバーとにこやかに世間話をし、
最後には、ご親切に食後酒のボトルをプレゼントしたアレックスは、こういう。

「ドライバーのご機嫌を損ねると、荷物を粉砕しておいて、知らん顔するかもしれないでしょ。クレームつけるのは、荷物がイタリアに着いてから。我慢我慢。」

常識がまったく通用しないイタリア生活が、ご丁寧に玄関先までやってきた。

近所の八百屋さん。ある夏の日。



・・・「金魚の世話の仕方」という直筆のメモと金魚についての本を一冊携えて、車で15分の友人エルメアくんの家に金魚を連れて行ったのは、その日の晩のことでした。

8匹生き残った金魚の子供たち、みんな元気でね!ちゃんと引き取りに帰ってくるからね!


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5/06/2011

衝撃の目撃談

ついにこの時がやってきた。
犯罪を目撃してしまった。

場所は、いつもジョギングしている大きな公園。

池の周りを走るのがいつものコースなのだが、そこでの不意のできごとだ。

一組の白人女性と黒人男性のカップルがなかよく池を眺めていた。
女性の方は小柄でショートカット、男性のほうは身長2m、体重は120kgはあろうという大きな体躯だった。

と、2人はお互い手をつなぐような仕草をした。
しかし手はつながず、何かの包みを受渡ししたのが見えた。男性が、女性に。

あたしはちょうど、ぐるり、と池を回り込んで走ってきて、その2人の後ろに出たため、誰も気がつかなかったのだろう。受渡しを真後ろで目撃してしまった。

なにしろ、雰囲気がちょっと目を引いた。
大人のカップルというにはお互いの距離が奇妙に離れていたし、
しかも「緊張」という鉄板が背中に入ったようで、後ろにも神経をとがらせているのが無意識に目に入り、あたしはつい見てしまったのだ。

あ・・・・何か渡した・・・。これは、もしかして、ドラッグってやつ?

と無神経な視線を向けつつ、あたしの足はそこを走りすぎた。

と、予想外の方向、近くの木の陰から、黒いロングコートにサングラスをかけた男性がぬっと現れた。

その男性は、2人を見ているあたしをサングラスの後ろから直視した。

写真素材 PIXTA
(c) Graph-S写真素材 PIXTA

「しまった!」ここであたしはようやく恐怖をおぼえた。

男女のカップルだけなら、それほど危険を感じはしなかったが、こちらの男は全身から威嚇のかげろうが立ち上っているようで、そくざに犯罪者と知れた。

この男たちはペアで行動していて、一人が受渡し、もう一人は監視役だったのだ!

あたしはとっさに、芝生にいるガチョウのコブをながめているふりをして、
どうしても地面を向きたがる顔をむりやり上向かせ、
スピードをそのままにして走りすぎた。

これは、何度見てもコブが気になる、公園のガチョウさん。


川を渡ってからはスピードを上げて、息があがるまで遠くへ走った。

さっきの光景が目に焼き付いていたので、あらゆる角度から検証した。

手渡したのは、おそらくコカインだったのではないか、と思い当たった。
なぜなら、女性が缶のコカコーラを持っていたからだ。

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(c) たかのん写真素材 PIXTA

いまどき缶の、それも250ml入りの細い缶のコカコーラ。一体どこで手に入れたのか、そっちの方が気になるほどの珍しい品。

想像するしかないが、きっと指定の時間に「細い缶のコカコーラ(=コーク)」をもって池のところにいると、売人がやってくる、という仕組みなのだろう。

コカインとコカコーラ。冗談のようだが、これがイタリア人のおちゃめな(?)発想なのだ。
(友人たちも賛同してくれた。同時に「危ない!」と注意された。)

それ以降、何度かその監視役のコートの男を目にしてあたしは警戒したが、どうやら見逃してくれることにしたらしい。しばらくは、後をつけられていないか、車に乗り込むときに後ろにいて襲われないか心配したものだ。
最近はすっかり姿を消した。

後日のことだが、その公園にある売店にジュースを買いに寄ったとき、
例の、250ml缶のコカコーラが売られているのを見つけたが、さすがに買うのはよしておいた(笑)。


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5/03/2011

魍魎跋扈(もうりょうばっこ)

友人のロベルトは言語専門の高校で英語教師をしている。

どこの国でも、理系科目選択者には男子生徒が、文系学科には女子生徒が多いのは変わらぬようで、例に漏れずロベルトの教え子も8割が女子生徒だ。

ピチピチの女子生徒が教室に花盛り、とあたしが冗談めかしていうと、ロベルトはため息をつく。
「女子生徒の方が手に負えないんだぜ?」
Photo by Peter Stastny
自分の少女時代を思い返してみても、女子生徒の方が男子より口が達者でませていたのは間違いのないところ、それは場所がイタリアに変わっても同じなのかもしれない。

授業中は、殆どの生徒が携帯メールで忙しく、顔もあげない。
夏間近になるとビキニのトップにミニスカートで登校してきたりする生徒がいるのなんて、かわいいほう。

「せんせーい。今週アレなんで、トイレ行ってきます」
なんていって退席する輩までいるらしい。(恥を知れ、恥を!)

写真素材 PIXTA
(c) bamboo写真素材 PIXTA

また生徒たちを叱責したあと、次回のクラスに行くと、教卓のうえに嫌がらせのタン◯ンが載っていたりするらしい。油性ペンで「ケツに入れろ」と書かれていたという。ここまで来ると、なんともえげつない。
あたしならショックで対人恐怖症になりそうだ・・・恐るべしイタリアの女子高生。

ともかく、そんな惨状は、もちろん保護者会で報告される運びとなる。

ロベルトの高校の保護者会は、授業が終わる平日3時半以降に1週間にわたって行われた。

これは保護者が自分の子供の受けている授業の教諭の教室に指定された時間に行き、学習進捗状況についてお説教を受ける仕組みだ。

ロベルトの受け持ちは全校生徒の半数、それも必須教科の英語なので保護者も真剣である。いくらがんばっても質問は尽きず、予定の夜7時以前に終わることはまずないのだが、それをさらに遅延させるのが、常軌を逸した親たち、いわゆる「モンスターペアレント」たちなのだそうだ。

昨今このモンスターペアレンツは、日本だけに生息しているのではない。イタリアのそれは、さらに妖怪然としている。

ロベルト「それで、ですね、点数がこのように下がってきているんですよ・・・」
妖怪責任転嫁 「まあ。それはあなたの責任ですわ。何とかしていただかないと。」
写真素材 PIXTA
(c) 一 一写真素材 PIXTA

ロベルト「水着で登校されると、風紀上も良くないですし、お父様からも一言ご指導いただけると・・・」
妖怪非常識親父 「うちの子は、ハダカで行きたいと言えば裸で学校にやらせます。学校の口出しすることではないでしょう」

ロベルト「申し上げにくいですが、ご令嬢がマリファナを使っているという証拠がありまして・・・これは他の先生からもご指導が行くと思いますが・・・」
妖怪薬物依存 「学校で使わないように申します。それでよろしいかしら?」
(イタリアでは、マリファナ使用はほとんど処罰されないため容認されているのが現状)

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(c) けん写真素材 PIXTA


妖怪ママ 「うちのぼくちゃんがですね、先生が怖いと申しますのよ。厳しいと」
ロベルト「ご子息だけに厳しくしているわけではないつもりですが・・・。どの辺がそう厳しいと仰るんでしょうか」
妖怪ママ 「授業中笑い話がないとか。宿題が多いとかですかしら」


「俺、アレックスみたいにアメリカに行っちゃいたいな・・・」
ロベルトの嘆きには、気の毒な背中をさすってあげるしかない。


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復活しました〜

皆様、大変ご心配をおかけしました。

全快とまでは行かないのですが、大分気分が良くなりました。
こんなにお休みをいただいてしまって、すみませんでした・・・。
ひとまず、なんとか更新ができる状態になりましたので、ぼちぼちブログを書いて行こうと思います。
またおつきあいいただけると嬉しいです。

それから、この場をかりて、お礼を。
先日から、みなさんにいただいたメッセージ、ひとつひとつに励まされました。
本当に、ありがとうございました。
今までお礼のコメントができていなかったのですが、みなさんからの温かいコメントに心から感謝しています。

それでは、今日一つ、アップしておきますね。
それから、みなさんのサイトにも、お邪魔しに参ります!

ほんとうにありがとうございました。

ピッコラ

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