つづいて、また現時点での海外メディアを通しての、最新情報をお伝えします。
更新の遅延をお詫びします。
日本の原発の安全性神話が崩壊した。東海の臨界事故に続いて、最悪の事態である。
今回は、人的災害とは言えないため、事故の情報と同時に、世界の原子力発電の安全基準も完全に足下をすくわれた格好となった。
なにしろ日本の原発は、政府が何度も発表するように、安全に安全を重ねて作られており、その安全基準は世界一高いものだったからだ。
それは当然、地震を想定していたから、であり、今回は完全に東北関東大地震に破壊されてしまったのだが。
日本の原発の安全基準の高さがどのくらいだったかというのは、他国へのこの事件の波及効果で知ることができる。
例えば、
ドイツの環境省長は、福島原発の事故に学んで、国内の原子力発電の安全基準を完全に一新することを示唆した。 (BBC World)
”こういうことが安全基準が極めて高い国で発生した・・・我々が全ての危機から保護されているのかという初歩的な議論がまた開始された。そして、我々はその質問を申し入れたい。”
Anthony Froggart氏、Chatham House (英国の国際時事問題のエキスパート)の主任研究員は、
この福島原発の危機によってさまざまな波状効果があるとしたうえで、
特に、(英国で)原子力発電戦略が見直されることには疑いがないと述べた。
”異なったレベルへの影響が見られるだろう。政治面でも、一般市民も、原子力発電所の建設地について再考することになるだろう。
しかし、もっとも重要なのは経済への影響だろうと思う。
今、我々は、地震に際して日本の原子炉が要する安全対策を目にすることができた。
この教訓は、現在稼働中の原子炉と、今後開発される原子炉への経済的影響を及ぼすような対策を導くことになるだろう。
つまり、単に経済的な理由によって、原子力への依存から他の発電へと移行する可能性があるということだ” BBC World にて発言。
その影響は、この24−48時間ですでに見られ始めた。
安全が最優先であるとして、スイスが老朽化した原発の「交換」案を取り下げ(AFPレポート)、ドイツも原子力発電所の「寿命を3ヶ月延長」する議論を中止した。
日本では議論にものぼらないようなお話だ。 他国の原発の安全基準が推し量られるというものである。
私は、現政権を完全に支持しているわけではないが、
今回の事故は、これほどの安全対策を施していた日本の原発にも耐えれられなかった、という印象だ。 少なくとも海外メディアではそうだ。
しかし、この一件が国民の不安を著しく煽っているのは間違いない。
それには、いくつかの原因があるが、メディア上での日本政府の対応のまずさを指摘する声がある。
以下、ファイナンシャルタイムズより
”公平に見ると、日本の政府は国民とのコミュニケーションや救助活動の指揮をそれなりに上手く取っているといえる。ただし、今回の災害以前のあれやこれを思って期待していなかった分、余計によく見えているのかもしれないが。
・・・しかし、原発のダメージが現実的なものとなった現在、これからが本格的な試練だ。政府は今後、あるだけの知恵を絞ってエキスパートたちの質問に答えていかねばならない。”
”枝野幸男内閣官房長官は、どうも、知的に聞こえるような返答に終止しているようだが、それは良いようで悪い。パニックは確かに防がなければならないが、主導的立場にある人間の回答の正直さに疑いの陰が差せば、すくなくともメディアの上では最悪の反応を招きかねない。”
と、率直さを欠いた返答、つまり国民に「正直に答えていないのではないか」という印象を与えるとしている。
しかし、政府にも今後の見通しにも絶望するのは早い。
例えば、雑誌Timeでは、こういって応援のエールを送っている。
この規模の地震が他のどのアジア諸国を襲ったとしても、失われる生命は確実にもっと多かったと言える。・・・この災害の最終的な影響によって、日本の社会と経済は苦労を強いられるだろうが、同時に日本よりも復活する力のある国は、世界にはほとんどない。
Haffinton postの日本在住記者は、日本人の底力について賞賛の眼差しを隠せない。
私は頻繁に日本の格言を引用するようなタイプではないのだが、今日、私が目撃したことは、人が生きるための秘密ともいえるもので、私の心を強く打った。
それでここに書き記し、皆に伝えたいと願う。それは、こうだ。
「七転び、八起き」。
イタリアからのブログ
を銘打っていながら英語のメディアばかり引用しましたが、個人的には、英国(とくにBBC)の報道は正確で偏見が少ないと思っているので、そちらを中心に見てみました。(記事が米国よりも欧州中心になっています)
それでは、また明日。明日は、金魚の記事にしようかな?
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