ピッコラ:せめて、お正月だけは、日本で過ごしたいと切に願う、ホームシックのPICCOLAです、皆さんお元気ですか。
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アレックス:イタリアのクリスマス、と聞くと、厳粛なイメージを持たれるかもしれませんが、最近では、そうでもありません。
ピッコラ:といっても、昔のことはわかりません。
アレックス:21世紀のイタリアは、資本主義/ 経済主体の風潮に流されて、
ミラノのドゥオモ(大聖堂)やバチカンのサンピエトロ大寺院でイメージされるような、荘厳な雰囲気のクリスマスは、望むべくもありません。
じっさい、現法王ベネディクト16世も「
商業主義・物質主義がクリスマスの精神を汚している」と批判なさいました。(2006年12月)
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ピッコラ:もちろんクリスマスに
ミサに行くご家庭はたくさんあるかと思いますが、それだったらお正月だけ神道を信仰する日本人と、そう変わらないわけです。
アレックス:そんな日に大聖堂に行っても混雑しているし、寒いだけです。
ピッコラ:そうそう。除夜の鐘を鳴らしに行列する勢いです。
・・・ちょっと待て、クリスチャンのくせにそんなでいいの?
アレックス: ぼくはほとんどエセ信者なんだ、ごめんよ。
近所の教会だったら、お祈りが通常の2割増になるのと引換えに、
割増料金のご寄付を払うことになります。
ピッコラ:寄付だからべつに好きにすればいいんだけど、やっぱり気になるよね。
アレックス:扉の前の
物乞いも、この時期はもらいがいいもんね。
ピッコラ:さて、イタリア人はクリスマスに何をするか。 やっぱり、
サンタさんが街にやってきます。
アレックス:イタリアでは、サンタさんのことは、
「バッボ・ナターレ」と呼ばれています。クリスマスの父、と言う意味です。
ピッコラ:バッボ、と聞くと私は、
映画「ライフ・イズ・ビューティフル」の男の子か、
子連れ狼の大五郎が、うずまき状の巨大ぺろぺろキャンディーを持って、
「ちゃんっ!」
とよぶのを想像してしまいます。
アレックス:子連れ狼には、そんな事実はありません。
ピッコラ:よく知ってんね。
アレックス:イタリアでも子連れ狼やってたもん、昔。
ピッコラ:ナターレ、の方は、クリスマス、という意味です。
アレックス:そのクリスマスの父、バッボナターレが、クリスマスイブにプレゼントを持ってくるわけです。
ピッコラ:だから、この時期は、「いい子にしていないとだめなんだよ〜」と、親から
正々堂々と脅迫されることになります。その辺は日本と同じです。
アレックス:敬虔なるカトリック教徒は、クリスマスの前には、家に「キリスト生誕」の人形を飾ります。
ピッコラ:写真がないので、
段差のないお雛様の卓上版(ミニ)
3500円 1980円、を想像してください。
アレックス:んもう。写真くらい用意しなよ。これです。
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アレックス:厩(うまや)というか洞窟のような模型セットの中に、
キリスト生誕に関わる人々、ヨセフとマリア、東方の三博士、エンジェル、ひつじの人形を飾ります。
ピッコラ:もちろん、わらを敷いた
飼い葉桶に小さなイエスが置かれます。
アレックス:これを、自然の石や藁、木切れや手作り人形なんかをつかって、毎年10月から作成している人を、ぼくは知っています。
ピッコラ:毎年新しく作るそうですが、
実に無駄に思われます。
アレックス:クリスマスツリーは、もとはドイツの風習ですが、最近はイタリアでも普及しています。
家全体を電飾しているところもよく見かけますが、アメリカやイギリスとは比較にならない質素さです。
ピッコラ:ちなみにクリスマスのイルミネーションは、私の意見では、日本が一番綺麗です。
アレックス:綺麗だよね、日本のクリスマス。
ピッコラ:続きます。