金魚のおかあさんの異変に気がついたのは、ちょうどアレックスに急な「イタリア帰還命令」が出た時のことでした。
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木の水槽に泳ぐ親子金魚。子金魚が赤くなりました! |
イギリス滞在2年が経過、そろそろ駐在期間も残り少なくなってきた、
と思っていた矢先に出た辞令。
「来月末日を以てイギリス駐在を終了し、8月1日からのイタリア勤務を命ずる」。
急に「来月」っていわれても・・・隣町に引越すわけでも、単身赴任ですらないのに、そんなの無理です!
という厳しい命令を常に出してくるアレックスの会社。
以前にも何度もこういうことがあったので、あたしたちはすっかり慣れてしまっています。(慣れざるを得なかった。悲。)
辞令の時点ですでに、残り2ヶ月を数日切っていました。
さあ、引越しとなると・・・
貸家の翌月末での解約。電気水道電話の解約手続き。引越しの荷造りと、不要品の処分。
考えることが山ほどあって、金魚の世話が手薄になっていたのでした。
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ぷぷっ。この子は一部だけまだ黒くて、おちょぼ口w |
ある日、金魚にエサをあげに外に出たら、金魚のおかあさんが水面で絶えずパクパクと口を開けていることに気がついたのです。
「水面にきた虫でも食べているのかな?」と、数日前も思っていたんだけど、なんだかその日はおかあさん金魚が痩せて見える。
「・・・しまった」痩せるということは、病気なのです。
0.5%の塩水を作り、治療用水槽におかあさん金魚を移し、上から横から観察してみて、またびっくり!
赤いはずのエラが白っぽい!
水質悪化に伴い、水中の雑菌が増えることで発症する「エラ病」にかかってしまっていたのです。これにかかると、呼吸が困難になるんです、だから水面でパクパクしていたんだ・・・。
金魚のおかあさんは、塩水の中でもさほど元気にはならず、底の方でグッタリしてしまっていました。
さて、この引越しに伴い、あたしたちが考えなければならなかったのは、金魚の行く先でした。つまり、イタリアに連れて帰るか、イギリスで誰かに譲るか。
あたしの本音はといえば、せっかく卵から育てた金魚たち、連れて行きたい気持ちが勝っていたのですが、引越し業者が動物は運べない、と連絡してきました。
イギリスからイタリアまで、1500km運転して帰るうちの車は、金魚がいなくても荷物でいっぱいなことは予想がつきました。
そのうえ、車内の隙間には、猫のモリーナを乗せなければならない。ここでさらに金魚を連れて帰るのは、困難が伴う。
もし、一時的にでも預かってくれる友人がいたら助かるなあ。そしたら、後日金魚を引き取りに帰ってくるのに。
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こっちは睡蓮鉢。と子金魚たち |
と、はかない希望を持っていたら、なんと、友人が一人「預かってあげるよ」と名乗り出てくれました。彼の名はエルメアくん。
パナマ出身、スペイン国籍も持っている、あたしたちの数少ない友人のひとり。
「いいよ〜。金魚なら出張中も大丈夫でしょ」
大丈夫だよ〜。一週間くらい食べなくても平気なんだ。
「一人で暮らしてるより、金魚でもいると楽しいから」
長年の彼女と別れちゃって、まだハートが癒えていないのです。
エルメアくんのお父様って、パナマの大臣だったのかな?すごい名家の王子様なのに気取らない人柄。
「ボクが預かったら、金魚が増えたいっていうだけ、増やしちゃうけど、大丈夫?」
・・・ううむ。それは・・。
「冗談冗談。心配しないでいいよ。いつでも取りに帰っといで。うちに泊まっていいからね。あと金魚の世話の仕方、詳しく教えて。」
うん、教えるね。今度また夕飯に行こうよ。
「インド料理の新しいお店があるんだ。ナンがおいしくてさ。そこにしよう」
ありがとう、エルメアくん。
そんなわけで、金魚たちの里親も決まり、引越しの日をめがけて、毎日がそれこそ飛ぶように過ぎて行ったのです。
おかあさん金魚が死んでしまったのは、それから僅か数日後のことでした。
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おかあさん金魚の最後の写真 |
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