4/30/2011

ブログちょっとだけお休みしています

みなさんこんにちは。
いかがお過ごしですか?

1週間もご無沙汰してしまってすみません。

現在わたくし、体調が悪い状態が続いていて、ちょっと更新ができそうにありません。
来週には復活すると思います。
復活したら、皆さんのサイトにお邪魔しに参りますので
しばらくお待ちいただけると嬉しいです。


それでは、また〜!
楽しいゴールデンウィークをお過ごしくださいませ。

ピッコラ

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4/25/2011

ほっぺにちゅー

今日は、雰囲気を変えて、日本にいるあたしの妹のお話。

あたしは2人姉妹の上で、妹とは2匹の子猫みたいにずうっとくっついて育った。

2歳年下の妹がたまたま同じ地域の大学に入ることになり、それなら、と迷わず一緒に暮らした。
料理はあたし、朝のゴミ出しは妹。
掃除は一緒にやり、洗濯物も映画を見ながら一緒に畳んだ。

去年その妹が結婚したのだが、「いつもお姉ちゃんの真似をして大きくなりました」と言われて涙がでた。
今では妹のほうがしっかりしてしまい、姉妹が逆転したようになっているから、なおのことだ。

これは、そんなかわいいうちの妹のお話。
10年はたっていないが、もうだいぶ前の話だ。
写真素材 PIXTA

(c) 支部長写真素材 PIXTA

乗車率50%くらいの昼下がりの地下鉄の中で、あたしの妹は、7人がけのシートに座っていた。
大学の帰り、アルバイトに向かっている妹。
携帯をいじりながら、バイト先の法律事務所のことを考えていた。

乗降りする乗客の足取りにも、朝ほどの慌ただしさを感じない、午後の地下鉄の中。
吊り広告の種類もバーゲンとか旅行とかゴシップとか、肩の力が抜ける内容のものが多い。



何駅か後に、ひとりの外国人の男性が乗り込んできて、妹の目の前の席に座った。

最初は全く気に留めていなかったのだが、ふと気づくと、どうもそこから、視線を感じるのだ。

「知り合い?と思ったけど、外国人で知り合いなんて、おねえちゃんとこのアレックスと、大学の先生くらいしかいないし。」

気にしないようにしていたが、最初はチラリチラリと見られていたのが、今ではジィーっという視線に変わったため、どうしても気になる。

手に持った携帯の画面から目を離してちょっと観察してみた。

「南米系の人かな。肌が日焼けした感じの黒さで、髪も黒っぽい茶色なの。」

と、その人、急に立ち上がったかと思うと、前に進み出て、空いたばかりの妹の隣の席に座ってきた。

立つと、すらりと背が高くて、Tシャツからでている腕もジーンズに入った足も長い。隣に座った時、ふわっと香水が香った。

驚いた妹の心拍数が急激に上がった。

「さっきから視線感じてたし、なんか嫌だったけどさあ。空いてる席に座るのは別に悪いことじゃあないから、文句言えないしねぇ〜」

左側にある長い足と自分との数ミリの隙間にプレッシャーを感じつつ、やや緊張しながら座っている妹。

次の駅に着いて電車が止まったとき、その外国人男性は、リュックを持って立ち上がった。

が、妹の前に一瞬立ち止まると、はっきりとした日本語で
「おねえちゃん、かわいいね。」と言った。

妹が反射的に顔を上げると、その外国人は、いきなり妹に顔を寄せて、
右のほっぺに音をたててちゅーをし、香水の香りを残して、電車を降りて行った。

写真素材 PIXTA
ちゅーーーーーーーー!
(c) GOETHE写真素材 PIXTA


もちろん目は点になり、耳はもとより、あごの先まで真っ赤になった妹。

そして白昼堂々、衝撃のドラマを目撃してしまった車内の人々は、
いたたまれずにうつむいている妹を、遠慮なしにニヤニヤ眺め回していたそうだ。

「うひゃぁ〜!」と国際電話越しにあたしが心行くまで叫んだ後、姉の威厳を保とうとして

「ま、べつにいいじゃん。かわいいって言われたんだし。ちょっと楽しい出来事だったじゃない。ハンサムだったんでしょ?」と言うと、

妹はため息をついて、

「あいつはさあ、さっさと電車降りてっちゃったからいいだろうけどさ。
あたしなんて車内に残されて・・・そのあとの2駅が長かったったらもう!」

写真素材 PIXTA
これは「キス」
(c) Scania写真素材 PIXTA


その後二度と、そのキス魔の外国人に会うことはなかったそうです。(笑)


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4/22/2011

引越しと金魚

金魚のおかあさんの異変に気がついたのは、ちょうどアレックスに急な「イタリア帰還命令」が出た時のことでした。



これまでの「きんぎょ騒動」は、こちらのリストからご覧頂けます。 


木の水槽に泳ぐ親子金魚。子金魚が赤くなりました!


イギリス滞在2年が経過、そろそろ駐在期間も残り少なくなってきた、
と思っていた矢先に出た辞令。

「来月末日を以てイギリス駐在を終了し、8月1日からのイタリア勤務を命ずる」。

急に「来月」っていわれても・・・隣町に引越すわけでも、単身赴任ですらないのに、そんなの無理です!
という厳しい命令を常に出してくるアレックスの会社。
以前にも何度もこういうことがあったので、あたしたちはすっかり慣れてしまっています。(慣れざるを得なかった。悲。)
辞令の時点ですでに、残り2ヶ月を数日切っていました。

さあ、引越しとなると・・・
貸家の翌月末での解約。電気水道電話の解約手続き。引越しの荷造りと、不要品の処分。

考えることが山ほどあって、金魚の世話が手薄になっていたのでした。
ぷぷっ。この子は一部だけまだ黒くて、おちょぼ口w

ある日、金魚にエサをあげに外に出たら、金魚のおかあさんが水面で絶えずパクパクと口を開けていることに気がついたのです。
「水面にきた虫でも食べているのかな?」と、数日前も思っていたんだけど、なんだかその日はおかあさん金魚が痩せて見える。

「・・・しまった」痩せるということは、病気なのです。

0.5%の塩水を作り、治療用水槽におかあさん金魚を移し、上から横から観察してみて、またびっくり!
赤いはずのエラが白っぽい!

水質悪化に伴い、水中の雑菌が増えることで発症する「エラ病」にかかってしまっていたのです。これにかかると、呼吸が困難になるんです、だから水面でパクパクしていたんだ・・・。

金魚のおかあさんは、塩水の中でもさほど元気にはならず、底の方でグッタリしてしまっていました。

さて、この引越しに伴い、あたしたちが考えなければならなかったのは、金魚の行く先でした。つまり、イタリアに連れて帰るか、イギリスで誰かに譲るか。

あたしの本音はといえば、せっかく卵から育てた金魚たち、連れて行きたい気持ちが勝っていたのですが、引越し業者が動物は運べない、と連絡してきました。
イギリスからイタリアまで、1500km運転して帰るうちの車は、金魚がいなくても荷物でいっぱいなことは予想がつきました。

そのうえ、車内の隙間には、猫のモリーナを乗せなければならない。ここでさらに金魚を連れて帰るのは、困難が伴う。
もし、一時的にでも預かってくれる友人がいたら助かるなあ。そしたら、後日金魚を引き取りに帰ってくるのに。
こっちは睡蓮鉢。と子金魚たち

と、はかない希望を持っていたら、なんと、友人が一人「預かってあげるよ」と名乗り出てくれました。彼の名はエルメアくん。
パナマ出身、スペイン国籍も持っている、あたしたちの数少ない友人のひとり。

「いいよ〜。金魚なら出張中も大丈夫でしょ」
大丈夫だよ〜。一週間くらい食べなくても平気なんだ。
「一人で暮らしてるより、金魚でもいると楽しいから」
長年の彼女と別れちゃって、まだハートが癒えていないのです。

エルメアくんのお父様って、パナマの大臣だったのかな?すごい名家の王子様なのに気取らない人柄。

「ボクが預かったら、金魚が増えたいっていうだけ、増やしちゃうけど、大丈夫?」
・・・ううむ。それは・・。

「冗談冗談。心配しないでいいよ。いつでも取りに帰っといで。うちに泊まっていいからね。あと金魚の世話の仕方、詳しく教えて。」
うん、教えるね。今度また夕飯に行こうよ。

「インド料理の新しいお店があるんだ。ナンがおいしくてさ。そこにしよう」
ありがとう、エルメアくん。

そんなわけで、金魚たちの里親も決まり、引越しの日をめがけて、毎日がそれこそ飛ぶように過ぎて行ったのです。

おかあさん金魚が死んでしまったのは、それから僅か数日後のことでした。
おかあさん金魚の最後の写真



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こちらの↓↓ラベル↓↓「きんぎょ騒動」からも、今までの金魚のお話に飛べます。

4/20/2011

馬を見に行く

だいぶ前のことなんですが、近くの競馬場に行ってきました。
あたしは競馬場に行くのは初めてで、かなりわくわくw

馬のことはわからないし、賭け事と言えば、ラスベガスのルーレットで5ドル賭けたのが最初で最後なので、今回も見るだけなんですが・・・。(小心者)

駐車場に入るともう、馬のにおいがしてきました。
といっても、ちっとも嫌な匂いじゃない。

入場するだけなら無料なんですね。入るとすぐにコースが見えてきました。
広い砂地のコースと、ちょこんと建っている観客席。
小さな競馬場です。


でも、馬の走るコースと客席を隔てるのは低い柵だけ!


馬の息がかかりそうなほどの距離です。
馬好きの方は、この迫力に大喜びかも。

観客席にはお客はそんなに多くない。日曜のほとんど最後のレースだったせいでしょうか。

さてさて、コースでは、つぎの出走準備がされていました。
自動車が、砂をならす道具をつけてコースをぐるぐる走り回って丁寧にならします。
さらに散水車で水まき。

コースの外周では出走馬たちがトコトコ足慣らしをしています・・・
で、馬を見てびっくり!

2輪車をひいているじゃないですか!
あたし競馬っていったら、ジョッキーが乗ってるやつしか知らなかった・・・

なんでも、こういう競馬を繋駕早足競争(けいがはやあしきょうそう)とよび、イタリアの競馬というとこれを指すことが多いそうです。
 市内の小径を馬が駆け抜ける、競馬のお祭りで有名なシエナ市なんかでは、騎手が騎乗した競馬も行われていますが。


この競馬は、最速で走るのではないので、馬の前足2本は鎖でつながれていて、それ以上開かないようにしてスピード制限をしているようです。
ローマ時代には馬にこういう台車をひかせて戦車としていたようで、その名残だとか。なんて聞くと、古代のロマンを感じるなあ。



さて、出走時間になりました。
馬は定位置に、というか、かなりバラバラに並んでいます。あれ?・・・出走ゲートは?
 車が一台やってきました。屋根にハシゴみたいなものをつけています。

ハシゴ?が車についている。
このハシゴ、自動でパカパカ横に開いて・・・
馬たちが後ろに並んで・・・・え?これが出走ゲート!?

あたし「なんか・・・安っぽくない?」
アレックス「こういうもんなんだ」

車が発車し、後ろについた馬たちが車を追って走り始めます。
コースを大体半周しながら、車も馬も徐々にスピードアップして行き・・・



車(ゲート)が馬を完全に引き離したところで、競馬がスタート。
ゲートはコースアウトしますが、馬はゴール目指して走り続けます。

馬の蹄の音が、水をまかれた砂地を走って行きます。あっという間に目の前までやってくると、地響きが高まるとともに、観客の歓声が悲鳴に変わる・・・・
















8番2番の順でゴール。
おじさんが、勝った勝った!と大騒ぎしていました。いいなあwww


初めて競馬をみた感想としては、
競馬自体は一瞬のことなんですが、馬と、競馬をしている人たちを見るのは楽しかったです。
日本でも一度、競馬を見に行こうかな、なんて思いました。




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4/19/2011

春の午後

土曜日の午後4時。
夏時間に変わったヨーロッパでは、日が暮れるのがぐんと遅くなるせいで、4時といっても日本でいえば3時ごろの太陽だ。
アレックスは幼なじみのマルコとテニスをしている。

あたしといえば、いつもは家にいるんだけど、今日は本を持参でついてきた。
こんないいお天気に家にいるなんてもったいない。



家族経営のこのテニスクラブには、テニスコートがたった2つと、サッカーフィールドが1つあるだけだ。管理人はここで軽食堂も兼ねている。


もと農家を改造したのだろう、大きな屋根の張り出した建物には、更衣室とカフェ、中と外にテーブルが置かれている。




あたしから見て、テニスコートは生垣を隔てたあちら側にある。萌黄色の新緑の枝の隙間を、アレックスとマルコの肩が通り過ぎる。

ラケットがテニスボールを打つ音が交互に聞こえ、合間合間に2人の声が割って入る。

「ごめん」「よっしゃ」「ナイス!」「うまい」「ごめん」
謝ってばかりいるのはうちのアレックスだ。あたしは、ちょっと笑う。


隣の牧場の方から、風が吹いてくる。牧場では牛が草を食んでいる。風に乗って、牛の首につけたベルの音が届く。牛の数だけある、金属のベルの音色。やけに元気な牛がいて、ひときわ大きなベルの音を響かせている。

少しだけ木陰の落ちる、絶好の場所にブランコがあったので、そこに座ることにした。

3つあって、高さが順々に高くなっている。真ん中のブランコの下の地面だけ、つま先で掘られた大きな穴があいている。
一番高いブランコは、子供用ではない。座ってみると、あたしでも足が地面につかなかった。しかし、これはいい気持ちだ。あたしはブランコをぶらぶらさせながら、本を読み始めた。

本は、イタリアのジャーナリストが書いたもので、ページのむこうにはナポリ湾がある。

そこに出入りする巨大貨物船舶が長い列を成している。ナポリ港で荷下ろしをした船舶は、船内の清掃を終えたところだ。ゴミはきれいにゴミ箱へ、つまり海に捨てられるのだという。一見美しいナポリの海には、黄色のスポンジ状の泡が岸にそって浮き、てらてらと七色に光る膜に覆われた水面をしているという。

早朝には、積荷が税関を通過する前に、小さなボートが沖に浮かんだ貨物船に向かう。スポーツシューズの最新モデルをボートに満載して、港に帰る。それらは非課税分だけ割安で販売され、ヨーロッパの市場に散って行く。(Roberot Saviano "Gomorrah" 第1章より)


本を閉じるとそこには、さっきと変わらぬ春の風景があって、あたしはほっとする。

ブランコの隣には滑り台がある。滑り台にまるで屋根を作るようにして、大きな木が立っている。葉の形はイチジクに似ていると思ったが、イチジクが果たして喬木だっただろうか?


側に寄ってみると、はたしてそれはイチジクだった。実がなっている。大人になってから好きになった果物。イタリア風に生ハムを添えて生のイチジクを食べるのもいいが、ドライフルーツにしたものにクルミを挟んで食べるのもおいしい。



管理人の軽食堂のテラスに、人が入り始めた。コップとイタリアのビール「モレッティ」の瓶を両手に持ったおじいさんたちだ。ピーナッツとピスタチオの殻を割りながら、長年こうして集ってきたのだろう。



アレックスとマルコがテニスを終えて戻ってきた。「引き分けだった」と嬉しそうなアレックス。テラスでビールを飲むおじいさんたちを見て、アレックスとマルコは顔をほころばせた。「飲んでもいいよ」とあたし。「どうする?」「飲むか」。
土曜日だしね。いいんじゃない。もうちょっとくらい、待ってあげよう。


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4/13/2011

ストリートガール ②

前回 ストリートガール①からの続きです。

photo by daniel nicholson

何十メートルか間隔を空けて並ぶ数人の女性たち。

長い髪をかきあげ、側を通る車に視線を投げかける。

意外や意外、年齢も国籍もまちまちで、
 東欧系の20歳そこそこの金髪女性がいるかと思えば、あたしよりはあたしの母に近いくらいの南米系女性もいる。

 ほかにアフリカ系、ぽっちゃり系と、顧客の嗜好を反映して様々な女性がいる。

彼女らの仕事は、そこに立って客を引き、取引が成立すれば客の自動車に同乗して営業に向かうことである。


彼女らの相場など、あたしの周囲の人間は知らないというが(知っていても言わないだろう)
アレックスは、うーん2時間50ユーロくらいじゃない? でもそんなの知らないよ、
と答えた。マクドナルドの時給が 7.5Euro だというから、自分を売るにしてはずいぶん安いものだ。 
もちろん、その半分かそれ以上は、元締めの懐に入る。

彼女らはグループに属しており、いちどきに数人、担当者の車で運ばれてくる。そして場所を与えられる。

たとえば、公園を囲む5本の道には、それぞれ縄張りがある。
南米系を揃えた道と、金髪女性が立つ道では当然元締めも異なる。
他人の道で商売をしてはならないのだ。

数時間しても客のつかない場合や、警察がパトロールしているという情報が入った時は、公園に引っ込むか、また車で回収されてゆく。


Abitare A Roma www.abitarearoma.net

彼女らは、与えられたその場を離れてはいけない。
数十メートル隣の同業者と身振りで話をするのも禁じられている。
携帯で話すのは禁止事項ではない、なぜならお客や監視員が連絡を入れてくることがあるから電話はいつでもONなのだ。

それにかこつけて、女友達と笑いながら話し込んでいる姿もよく目にする。
子供と話している母親だっている。
彼女らにも、私生活があるのだ。

写真素材 PIXTA
(c) 阿野陽写真素材 PIXTA

なにかの理由でその場を少しでも離れると、即座に監視員から電話が入る。
 
どこかから常に、監視されているのだ。

そういえば、道の反対側がちょっとした丘になっていて、そこの上の柵にもたれて、空を見つめている野球帽の男がいる。
彼女らが立つ日には、必ずいる。
だから、それが監視員だろうと私はにらんでいる。


また、同じ道を何度も何度も往復するスクーターの男がいる。この男も監視員だ。

写真を撮りたい、と思ってジョギングの足を緩めて携帯を取出す。
監視員も女性たちも、私に気づいていない。

携帯を構えていると、 すぐ側の木の陰から
犬の散歩をさせている濃い色のサングラスをかけた70すぎの老人が現れた。
私をサングラス越しに凝視している。

威嚇されたと感じて鳥肌がたった。こんな老人までが、ストリートガールの監視員だったのだ!

1年間、観察を続けた結果、1グループのストリートガールにつき、必ず2人が監視をしていることに、私は気がついた。
一人は女性たちに付きっきり、もう一人は遠くから監視しているのだ!

私はそれ以来、写真を撮ろうとするのを止めた。
彼女らは、歩道という棚に並んだ商品、逃げ出しはしないか、客とのトラブルはないか、監視する必要があるのだ。
それを阻む者に報復があるのは、間違いのないところだろう。

ストリートガール。車の陰のベンチに監視員がいて話をしている。

また、一台の車が止まった。
日曜午後4時である。

しばしの値段交渉のあと、その20代前半の背の低い黒人女性は、助手席に乗り込んだ。
運転席には30代とおぼしき黒人男性。サングラスをしている。
車は左に方向指示器を出して、その場を離れた。市内中心部へ向かう道を選んで走り出した。
夜はまだ、始まってもいない。


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4/11/2011

ストリートガール ①

いつもジョギングしている公園のふちを5本の道路が囲んでいる。
 
例の、移動遊園地の来る公園だ。

そこの歩道には、ストリートガールが立つ。




昼間の彼女らは、ジーンズやレザーパンツなど、露出の少ない服装をしている。
もちろん、警察車両が通りかかる可能性を考えてのことだ。

その地味な格好と、いくぶん年齢が高いせいで、初めはあたしは、彼女らも街娼だとは思っていなかった。
しかし、散歩しているにしてはその場を離れないのは不自然だ。
そして時々車両が停止して、窓越しに商談をしているのをみると、なるほどそうなのだ。

彼女らはタバコや携帯をいじりながら、手持ち無沙汰なふうを装っているが、
通りかかる車両には、長いまつげをしばたたかせてシグナルを送る。

驚くほど多くの車やバイクが、一番右の車線を走りながら、スピードを落として彼女らを吟味していく。

写真素材 PIXTA
(c) JayTurbo写真素材 PIXTA

そして夜の道路。
彼女らは、やはり夜の存在である。

時々行き交う車のフラッシュに照らされる彼女らは、超ミニのスカートに、ブーツといういでたちである。

ひとけのない山道に立つストリートガールたちは、もっと挑発的。
背中側は服を着ているのに、通り過ぎるバックミラーを見ると、前面のボタンがすべて開いている、なんてことも多々ある。

冬の凍えるような日。激しい雨の日。彼らはやはりそこに立っている。
立ちっぱなしのブーツの足を何度も組み替える。



車が投げかけるスポットライトが当たった次の瞬間には、闇がまた、彼女らを覆いつくす。
そしてまた車が通り過ぎる。
それの繰り返しなのだが、彼女らに光の当たる時間は、ごくごくわずかだ。



Photo by Ignacio Farina
・・・私はその道をジョギングしている。

「危ないから、やめなよ」と言われもした。

実際、一度なんて、汗をふきふき歩いていたら、クラクションを鳴らされてしまった。
彼女らの一人と間違われたのである。
それにしても、汗じみのついたジャージを見ればわかりそうなものだが・・・

危ないとわかってはいるのだが、同じ女性として、どうしても気になってしまう。
彼女らの勤務体系、取引のしかた、普段の生活・・・・。
もし私がジャーナリストだったら、彼らに密着取材をしたいほどなのだ!

「道路を走るのは明るい時だけにしてるから」
残念ながら、私に雑誌社の葵の御紋はないので、こうしてジョギングしながら毎回観察を続けているのである。



次回に続きます。
ストリートガール ①|  ②


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4/08/2011

愛とチョコレート

つい先日まで、うちの町で、チョコレートフェスティバル(サイトリンクあり)なるものをやっていた。


なんでもうちの町のチョコレート制作はスイスのチョコの歴史より長いとか、

板チョコを発明したのはうちの町だったとかいう伝説があるらしく、

うちの町は密かに「チョコレートの聖地」を名乗っているらしい。



実際、友人宅に食事に呼ばれていくときに、お菓子やアイスクリームの代わりに「チョコレートと甘い白ワイン」を手みやげに持って行く習慣があるくらいだ。


photo by Andrew Dickinson

それも、その辺のスーパーで買うのではない。

上の写真のようなパスティッチェリア(お菓子屋さん。仏:パティスリー)で、しかも自家製チョコレートを作っているような店で買って持って行くのです。

ちなみに上の店はおそらくペイラーノという老舗中の老舗。
チョコの形を見ると店名が分かってしまうワタシ♥

お味は・・というと、
どこぞの水色の箱に入ったブランドの生チョコレートなんて、
脱帽してその場で溶けてなくなるほどのおいしさ。

初めて食べたときには、あたしは悶絶して、床にぶっ倒れたくらいだ。

チョコレートがこれほどまでにおいしいとは、あたしは知らなかった。

言われてみれば、なにしろ毎日作り立て。
カカオ豆を挽くところから始まって、チョコに配合するクリームも新鮮なら、粒に入った中身も香り高いのだ。

そういうわけで、冬場なら、あたしは迷わずチョコレートをお土産にする。
(夏は溶けるからダメだけど)
こんな幸せ、一人で味わっちゃ勿体ないってもんだ。


さてさて。そんなわけで、チョコレートがおいしい、うちの町。

これは、今年のチョコレートフェスティバルの会場。
近寄ると、食べたり買ったりしてしまうので遠巻きにして見てきた。(賢明な判断。)




以下は借り物画像の、会場の様子。


photo by Alberto (picasa)



photo by Lingkai ZHU(Picasa)


そこで、買ったり食べたりせずに、あたしが唯一やってきたことが、こちら。

イタリアのお土産として有名な、バチ・チョコ(キスチョコ)のPeruginaという会社がやっていた「愛のメッセージ」。
Photo Cucina Doki から拝借
「横断幕に愛のメッセージを書いてください!」
お兄さんがニコヤカに笑いかけて来た。

 「何語で書いてもいいよ!」
おっ。いいね!!

「ただし・・・」とお兄さん。油性ペンをぶらぶらさせている。

「愛のメッセージ、だからね。必ず『キス=バーチョ』って入れること」

ほっほう・・・・。

あたし「ねえねえ、母国愛のメッセージでもいい?」

お兄さん「・・・うーん。・・・まあ、愛には変わりないからねぇ・・・」

と多少煮え切らない態度で、ペンをくれようとしない。

たしかに横断幕をチラリと見ると、
「永遠の愛をあなたに」

「いつまでもハネムーン」

「世界で一番愛してる!」

「あなたに100万回のキスを!」
チョコもとろけんばかりのメッセージばかり・・・。

あたし「あたし日本人なんだ。地震酷かったでしょ。だから応援メッセージ書きたいんだけど」

というと、 お兄さん、一気に同情してくれて

「そっか!大変だね。よっしゃ、でっかく書いておいで!!!」

と、あいなった。


というわけで、あたしからの愛のメッセージ。

いちおう、「たくさんキスを込めて」と付け加えておいた。(律儀。)

*ちょっとだけ説明*
キス1こ=バーチョ(bacio) キスたくさん=バチ(baci)

・・・後日。

その会場を通りかかって、横断幕がででーーーーん!とはられて、
あたしのメッセージが見られるか・・・と思ったら、

横断幕なんて、どこにもない。
みれば、バチ・チョコのコーナーは、先日のようなメッセージを書く人々でごった返している。

どうやら横断幕は、巨大巻物のようにグルグルと常に巻きとられ、毎日新しい白い面が上に出ている様子。


・・・あたしの愛のメッセージが、日の目を見ることはなかったようだ。



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4/06/2011

青い卵と泳ぐ鳥

きんぎょ騒動 番外編

 
 これまでのきんぎょ騒動は・・・

 金魚続報 |金魚の成長 |金魚とタニシの小宇宙 |金魚親子の涙の対面
別居してます 星になった金魚


 でお送りしています。すべて実話です。事実は小説より・・・?



春先に買ったイチゴの鉢植えに、花がつきました。(といってもご存知のようにこれは過去のお話)

イチゴっていうのは、ストロベリー(Straw-berry)という名のとおり、
花がついてからは Straw(藁)を根元に敷いてやって、イチゴの実(berry)が地面にふれないようにするそうです。

そうでないときは、
こういったイチゴ専用のポットに植えて、実が垂れ下がる形にもっていく。
赤い実が揺れる様子を見ているだけで、
甘酸っぱ〜い気持ちになってきます(・・・そしてヨダレも出る)。


と、ある日いつものようにイチゴ参りをしていたら、

ポトリ、と音が真後ろでしました。
右端のがイチゴポット。


振り向くと、それは青い卵の殻でした。

空色のそれはそれは綺麗な、お菓子かなにかかと思うくらいのパステルカラーの卵の殻。

水色のたまご

「こっこれは!シャッターチャンス!」と思い

人差し指と親指でもって、
そう〜っと殻を拾い、
パンジーの隣に持ってきたのですが・・・

なんと、殻が、まだ温かかった!



生まれたばかりの小鳥の卵だったんです。
それを親鳥が巣から落としたところだったんですね。

あたしはもう、えも言われぬほど、感動しました。

調べてみると、それはムクドリの卵でした。

ムクドリ Photo by Geoff Athey



以来、気をつけて見るようになると、我が家の軒先には、ムクドリの親鳥と、生け垣に巣をつくるブラックバードが忙しく飛来していました。



それからしばらくして・・・




庭先で鳥が大騒ぎしているので、どうしたかと出てみると。

小鳥が金魚のいる睡蓮鉢の水の中に落っこちていました。

まだ震えている
泥の入った睡蓮の鉢の縁に足をかけているんですが、水をはね散らかして、バタバタしているだけ。


鳥って、羽根が水を吸うと飛べないんですよね。

よく見ると、それはムクドリ。しかもこの小鳥、ずいぶん小さくてくちばしの根元も黄色い。


例の青い卵の小鳥が、巣立ちに失敗して、水槽に墜落したようでした。

親鳥がそれを見て騒いでいたんですね。

それで、あたしは急いで、金魚をすくう網でもって、小鳥を救出しました・・・!

まずはとにかく、小鳥を温めてやらないと、と思い、
網の枠に足をかけてひなたぼっこ。
陽のよくあたる生け垣の上に載せてあげることに。

もちろん近所の猫が来ないか、あたしは家の中から監視。

その日は運良く、イギリスにしてはいいお天気で、日向に立っているとお肌がジリジリするくらいの暑さ。

最初は目をつぶって、震えていた小鳥も、お日様に当たって・・・
自分で向きをかえた。羽根を広げています。

だんだん羽根を動かすようになり、羽根も乾いてきて・・・

40分ほどすると、ポトリ、と自ら生け垣から降りて、
まだうまく飛べない羽をバタバタさせて、庭の隅っこに飛んでいきました。

空からは、親鳥が後を追っていきましたよ。
よかったよかった。

気の毒だったのは、思わぬ侵入者を迎えた子金魚たち。
金魚もひなたぼっこをする。(オレンジのがそう)

よっぽど怖かったんでしょう、ちっとも水面にあがってきません。(笑)



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4/04/2011

なんつう交通事情 

悪名高いイタリアの交通事情。

実際どんななのか、ご一緒にみてみましょう。

イタリアで運転する気に・・・なれますか?


うちの「ボロアルファ」とその後継者「しょぼプント」のお話はこちら




1 信号機はたんなる目安 

たとえ信号が赤でも、他に車がいなければ進め!

すなおに青になるのを待っていると、
「バッカヤロ!どこ見てやがんだ」 と罵りを残して、後続車がぞくぞく追い抜いて行きます!
・・・信号ですが、なにか?

「イタリアではね、青は進め、赤は注意して進め、っていうんだよ。」

ため息とともにアレックス。 え?じゃあ、黄色は? 

「赤になるまでのつなぎ


2 駐車スペースは自分でつくれ

路駐するときは、前後のクルマにあてて、隙間をあけてねじ込みます。
誰かが出られなくなろうが、人が見ていようが、おかまいなしです。

同じく、スペースがどうしてもない場合は、道の中央の白線上中央分離帯にも駐車します。サイドミラーが破損するかもしれませんが、背に腹はかえられませんからね(?)

ある日、そよ風をあびて車内でウトウト居眠りこいてたあたし。
ガン!という衝撃で目がさめました。

うちのボロアルファの後ろのバンパーにぶつけた男性は、あたしに気づき、右手をちょっとあげただけで、立ち去って行きました。

「イタリアの女性、車を路駐する」YOUTUBEより

3 スピード落とすな

1台しか通れないような、細くて曲がりくねった山道。しかも夜。
なのに、スピードを落とすと、ピッタリつけられた挙げ句に猛スピードで追い抜かれます。

 片側が崖だともうハラハラで、ディズニーランドも裸足で逃げ出すスリル。

高速道路も、140km/h以下で走ると、後ろからクラクションの嵐を浴びます(制限時速は130km/h)。
ゴールはひとまず料金所。手前100mまでは限界のスピードで突っ込みます。

「先越されてたまるか!!」・・・何の競走よ?



4 違反切符は払うな
たとえ違反切符を切られても、現場で払ってはいけません。
「今、持ち合わせがないんで・・・」

言い訳をつけていったん退却し、

友達の友達、親戚の知り合い、同僚の友人の義理の息子・・・かならずどこかにいる警察官(Polizia Municipale)の知り合いを探します。

そこに頼んで、駐車違反の切符を無効にしてもらいます。(なぜ無効にできるのかは謎)

「一度でも払うと、癖になる。税金と罰金は麻薬と同じ」だそうです。

あたしがバスの乗車違反をした時
「なんでイタリア語わからないふりしなかったの!?」とみんなに言われたのは、まだ記憶に新しい・・・。



5 バンパーがあるから大丈夫

ガツン!!!
角を曲がり損ねて、うちの車庫の向かいの壁に思いきりバンバーをぶつけた近所の75歳のおじいちゃん。

騒音に驚いて、車庫から出てきたあたしとアレックスを見て、手をふって「チャオ!」
じいちゃん、バックしてハンドルを切り返したものの、今度は柱に
ガッチャン!!!

あ、あ、あ、あ・・・と

言葉も出ないあたしたちに窓を開け、

 「おう!あんたら、クルマ買ったんだな。お〜めでと〜う!」

そのまま行ってしまいました。

地面には大きく破損したバンパーが横たわっていました。



4/01/2011

ポルトフィーノとアート

ちょっとだけアートのお写真を。

ポルトフィーノの小さな小さな港から出て、200mくらいつづく小さな繁華街には、
ローマかミラノかというようなブランドショップが軒を連ねています。

さすが、セレブリティ御用達の避暑地。

そこに点在しているのが、アートショップ。
才能のあるアーチストさんたちの一点もののアートも置いているそうです。

あたし「うわぁ〜ここ綺麗。入りたい。絵の店?」
アレックス「おなかは大丈夫なの」
あたし「大丈夫じゃない」


古めかしい外見を変えずに利用した、絵のお店ですね。左の鉄の塊は碇でしょうね。



へっぴりごしで撮った写真、うまく写っていなくてごめんなさい。


上の絵のある店の前。小さなスペースになっていていろいろなアートが置かれていました。
椅子もテーブルも販売されています。

ポルトフィーノに別荘を持つかたたちが、お買い物にいらっしゃるのでしょう・・・

青い海を見下ろす白いバルコニーに、こういうテーブルと椅子が置いてあるのを
想像してしまいます。

絵は、お土産に持って帰るのかな?



場所は変わって。
こちらは、ポルトフィーノに着く直前に立ち寄った、サンタマルゲリータ・リグーレという街。

街路樹がオレンジの木なんです。

あたし「食べれるのかな」
アレックス「食べれると思うけど、まだ青くない?」
あたし「あ、ここ、もいである」
椰子とオレンジの木

ここも海辺のリゾート地です。ポルトフィーノほど高級じゃないので、ずっと気軽に海水浴や日光浴が楽しめます。
ポルトフィーノだと、ホテルのロビーや、朝食に出るのにすら、服装に気をつかわなきゃなんない雰囲気です。 大声で話すなんてもってのほか、という感じ。



予想外のいいお天気だったので、皆嬉しそう。夏はここがデッキチェアとパラソル、子供たちの歓声で埋め尽くされます。
あたしにはこっちのほうがむいているな・・・


カモメ!

上の写真。拡大しないと見にくいかな?車の屋根あたりに「→ Mare 海」と。

建物の一階が通路になっていて、そこを抜けると海に出ます。

ちょっとドキドキしますね、こういうの。


いつかまた、来てみたいです。

せっかくなので、ポルトフィーノのガイドもちょっと書きました。こちらへ>>


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